ビタミンB群不足の原因を考える

 

足りない栄養素の見つけ方

 

最近、健康管理のためにサプリメントを利用する人が増えています。

 

分子栄養学をもとにした栄養療法でも、薬の代わりにサプリメントをうまく活用することで体調を改善する人が多くみられます。

 

でも、多すぎるサプリメントは、かえって肝臓に負担をかけてしまうこともあるし、ただやみくもにサプリメントを摂りまくれば良いわけではないですよね。

 

では、どのようにして足りない栄養素を見つければ良いのでしょうか。

  

分子栄養学では、血液検査データを栄養状態の指標の一つとして活用します。

 

具体的には、まずは、主訴や症状から、その方の状態を想像してから、主に以下の項目を読み取っていきます。

 

①たんぱく質が足りているか(タンパク代謝の低下)

②脂肪肝の有無

③鉄欠乏の有無(貧血チェック)

④ビタミンB群欠乏の有無

⑤血糖調節障害の有無

⑥亜鉛・銅バランス

⑦酸化ストレス負荷の有無

⑧抗酸化力

⑨交感神経の緊張状態

 

検査値が基準範囲内に入っていて、お医者様からは「問題ありません」と言われた場合でも、上記のような項目に着目してデータを読み取っていくと、実は色々と問題があることが判明することもあるのです。

 

例えば、病気ではないけれどなんとなく疲れやすいとか、朝起きられなくてつらいとか、眠れないとか、様々な不調にはやはり必ず何かしら原因があるので、それらを解決する糸口を見つけるためにも、血液データはかなり役立ちます。

 

 

ビタミンB群が不足する原因

 

では、もしも、例えばビタミンB群の不足が判明したら、どうしたら良いのでしょうか。

 

ビタミンB群が足りないなら、ビタミンBのサプリを飲めばOK!

と言いたいところですが、、、

 

単純にサプリメントだけで解決できるのかというと、必ずしもそうではないのです。

 

まず、ビタミンB群の不足があるときに一番注意したいのは、腸内環境の問題です

 

なぜなら、ビタミンは食事から摂るだけでなく、腸内でも作られているものも多いのですが、腸内環境が悪いとビタミンが十分に作られなくなってしまうからです。

 

また、胃の状態によって吸収率が大きく変ってしまうビタミンもあります。

それはビタミンB12。

ビタミンB12は、他のビタミンと異なり、たんぱく質と結合した構造をしているため、吸収のされ方がちょっと複雑です。ビタミンB12が吸収されるためには、胃酸と消化酵素(ペプシン)と内因子(内因子とは、胃壁細胞から分泌される糖たんぱくの一種)の3つがそろわないとダメなのです。従って、萎縮性胃炎などによって適切な塩酸や消化酵素、内因子の分泌が十分でなくなっている場合、ビタミンB12の吸収がうまく行われなくなってしまうというわけです。さらに、ビタミンB12は、リチウムなど、他のミネラルとの関係で不足することもあると言われています。

 

その他のビタミンB群の不足原因を考えると、

 

ビタミンB1不足・・糖質の過剰摂取。(過剰な糖を代謝するためにビタミンB1が大量に使われてしまう)

 

ビタミンB3(ナイアシン)不足・・アルコールの飲みすぎ

 

ビタミンB6不足・・生まれつきの体質で慢性的な亜鉛とビタミンB6不足を起こす「ピロール障害」である

 

葉酸不足・・遺伝子異常

 

 

などといったことも考えられます。

 

 

もちろん、これらの原因や、個々の体質を考慮したうえで、サプリメントを上手に選んで活用していくことは、有効であると言えます。

 

でも、ビタミンB群に限らず、サプリメントを飲む前にアプローチできることって、結構たくさんあるので、不足原因を考えるのはとても大事!ということです。

分子栄養学と血液検査②

昨日のブログからの続きです。

 

血液検査のデータから栄養状態を知ることができたら、それをどのように活用すれば良いのでしょうか。

 

例えば、「たんぱく質不足」だということがわかった場合には、たんぱく質食品をたくさん食べ、ビタミンが足りないとわかった場合には、ビタミンのサプリメントを摂ればOK!ということになるのでしょうか?

 

単純に、栄養素の摂取量が少ないことだけが問題なのであれば、それでも良いかもしれません。食事内容を見直した上で、食事だけでは足りないものに関しては、サプリメントを上手に活用することも有効な方法の一つであると言えるでしょう。

 

しかし、その前に、忘れてはならないのが、なぜ、たんぱく質やビタミンが体内で不足してしまったのかを考えることが大切です。

 

なぜなら、食べ物を「摂取」するということと、それが体内に「吸収」されて実際に体内の細胞にまで入るということは、大きく違います。「摂取」するだけでは、食べ物を口の中に入れただけで、まだ体内には入っていません。一方、「吸収」とは、食べたものが消化・分解されて、体内に取り込まれたということを意味します。

 

胃酸が不足しているせいで消化が悪く、食べたものを十分に分解できていないのかもしれないし、腸に炎症が起きているせいで栄養素の吸収が悪くなっているのかもしれないし、重金属が体内に蓄積しているせいで栄養素の代謝が阻害されているのかもしれないし、これらの原因がお互いに影響しあっているのかもしれないし、そもそも、なぜ胃酸が不足してしまうのか?なぜ腸に炎症が起きているのか?なぜ重金属が蓄積しているのか?ということになるわけです。

 

「何を食べるか」よりも、いかに「消化、分解、吸収」するか。

 

そして、それをいかに代謝させるか、ということが、ものすごく大切であるということですね。

 

 

分子栄養学と血液検査①

 

血液検査データからわかること

 

皆さんは、健康診断や人間ドッグを定期的に受けているでしょうか?

 

通常の健康診断や人間ドックで行われる血液検査では、主に肝臓の働きや腎臓の働きなどに異常がないかどうかをチェックしていますよね。

 

健康診断では「異常なし!」と言われても、なんとなく身体の調子が優れないという方もいらっしゃるかと思います。

 

そんな場合、血液データを分子栄養学的に読んでみると、栄養素の過不足や、酵素の活性、ストレスの度合い、抗酸化力や炎症の状態など、様々なことを推測することができるので、たとえ血液データが基準値内に入っていたとしても、色々と問題が存在するのだということがわかってきたからです。

 

その他にも、身体の中の状態をより詳しく知るためには、尿中に排泄される代謝産物を調べる「有機酸検査」や、「毛髪ミネラル検査」、「便検査」、「アレルギー検査」等々、様々な検査が用いられる場合もありますが、まずは手軽な血液検査データだけでも、得られる情報は非常にたくさんあります。

 

もちろん、血液データの数字だけでは推し量れないことはたくさんあるのですが、わりと手軽に受けられる血液検査の数字を読むことで、自分の身体の中の状態を推測できて、健康維持対策のための道しるべとして活用できるなんて、これを利用しない手はありません。

 

 血液検査の「基準値」とは?

 

そもそも、血液検査の「基準値」というものは、どうやって定められているのでしょうか。

 

血液データの基準値として用いられるのは、「臨床判断値」というものと、「基準範囲」というもので、臓器別の病気のスクリーニングのために使用されます。

 

「臨床判断値」は、例えば、糖尿病や動脈硬化などに関する専門集団(学会)が定めた基準値で、その疾患の診断基準や治療を開始する判断のために用いられます。

 

そして、通常の検査で用いられる「基準値」の多くは、「基準範囲」と呼ばれるものです。これは、統計学的に算出した数値範囲を用いています。

 

健康な成人の集団のデータをもとに、平均値を中央として、95%の人が含まれる範囲が「基準範囲」となります。(つまり、全体の5%の人が基準値外となる)

一方、栄養療法におけるデータの判断値は、「基準範囲」のように、統計学的に定められた値ではなく、臨床的な経験をもとに、栄養状態を評価するために設定されたものです。

 

栄養療法専門のクリニックの場合では、病態を積極的に改善させるために必要な代謝を得るための判断値として、血液検査の結果を見ている、ということになります。

 

話が長くなってきたので、続きは明日!

 

分子栄養学について。

「分子栄養学」ってなに??

 

今日は、私が今勉強中の「分子栄養学」について。

「分子栄養学」の考え方は、1960年代に、米国の化学者ライナス・ポーリング博士と、精神科医エイブラハム・ホッファー氏によって作られました。

正式には「分子整合栄養医学」(Ortho-Molecular Nutrition and Medicine)としてポーリング博士が名付けたものが、省略して「分子栄養学」と呼ばれています。ちなみにポーリング博士は、ノーベル化学賞・ノーベル平和賞と、二度のノーベル賞を受賞した天才化学者として知られているすごい方です。

 

従来の栄養学との違い

 

従来の栄養学は、「欠乏の栄養学」であると言われています。

ビタミンの摂取量では、ビタミン欠乏症にならない程度の量を摂ることが指導されます。

ビタミンは欠乏症を補うためのものなので、微量で十分、という考え方で、例えば、ビタミンCなら、壊血病にならない程度、ビタミンB1なら脚気にならない程度を摂れば良い、ということになります。

 

しかし、実際には、人それぞれ個人差があり、消化吸収力、ストレス状態、生活環境、年齢、病気など、様々な条件によって、必要とする栄養素量は大きく異なるはずです。

 

ポーリング博士は、栄養素の不足が病気を引き起こすので、それを十分補充することで、病態の改善が見込めるのではないかと提案しました。

 

分子栄養学と栄養療法

 

分子栄養学に基づいた栄養療法では、身体の中にある分子(栄養素)をその人にとって最適な濃度にまで到達させて、体内の組織(臓器)や細胞の分子構造を変化させたりすることで、身体の機能を向上させ病態を改善させる、という治療法が行われます。

例えば、栄養素の医学的効果を得るために、時には通常の数十倍~数百倍の量のビタミンを用いることもあります。

  

私は医者ではないので、「治療」という観点で栄養療法を行うことはもちろんできないわけですが、分子栄養学の知識を活用して今の体の状態を把握することで、身体の中でどんな栄養素が足りないのか、なぜその栄養素が足りなくなってしまったのかを知ることや、食事以外でも、ライフスタイルを改善したり、ストレスを軽減する方法を考えたり、アプローチできることはたくさんあります。

 

そんなわけで、私なりに、難しい言葉ではなく、誰にでもわかる言葉で、分子栄養学に関する情報もお伝えしていけたら良いなと思っています。

ピロリ菌が栄養不足を引き起こす?!

ピロリ菌と栄養障害

 

これまで数回に渡って、胃酸の話や胃の不調によって身体に及ぼす影響についてブログに書いてきましたが、胃のトピックの中で忘れてはならないのが、ピロリ菌に関する問題です。

 

ピロリ菌とは、胃の粘膜に生息する悪い菌で、胃がんや慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎などの病気を引き起こすおそれがあるということでも知られています。

 

胃の中の菌は通常、胃の強酸によって殺菌されるのですが、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を出していて、この酵素が胃の中の尿素を分解してアルカリ性のアンモニアを作り出し、ピロリ菌自身の周りを中和して胃の中で生き延びることができてしまうのです。

 

日本人に胃がんや胃潰瘍が多いのは、塩辛いものや熱いものが好きだからなどと言われることもありますが、それよりも大きな原因として考えられるのは、胃の中にピロリ菌を持った人が多いからであると言えます。

 

ピロリ菌は、胃の粘膜を委縮させて胃の働きを抑え込んでしまうことから、胃の粘膜障害と同じような状態になり、胃や十二指腸を痛めてしまうのですが、それだけでなく、ピロリ菌は栄養障害にも関係が深いと言われています。

 

その不調、もしかして、ピロリ菌のせい?!

日本でピロリ菌に感染している人はおよそ6000万人といわれており、特に50歳以上の人で感染率が高くなっています。中年以上にピロリ菌感染者が多いのは、井戸水が原因ではないかと言われていますが、衛生環境が整ったことによって、ピロリ菌に感染している割合は年々減少しており、若い世代では低くなってきていると報告されています。

とはいえ、若い人でも、栄養療法などを実施してもなかなか状態が良くならない方の場合、調べてみると、胃にピロリ菌を持っている人が多く、ピロリ菌除菌後に同じ方法で栄養療法を行うと、見違えるように症状が改善されるという報告もあるため、注意が必要です。

 

食生活を見直して体調を改善したいと考えた場合、まずはピロリ菌が胃にいないことが大前提になるといえます。

 

ピロリ菌の検査は、病院で採血をして調べてもらうこともできますし、自分で採血する検査キットも色々売られていて、簡単に調べることができます。

 

ただし、お医者様の話によると、血液結果で陰性だからといって、100%ピロリ菌の心配がないというわけではないとのこと。体内でピロリ菌に対する抗体を作る元気もない場合は、陰性になってしまうらしいΣ(゚д゚lll)

 

明らかに胃の調子が悪い場合は、検査結果が陰性でもピロリ菌に感染しているという可能性も考えられるのですね。

 

ピロリ菌の除菌

 

胃内のピロリ菌を除菌するには、病院で処方された抗生剤を一定期間飲むという方法が一般的ですが、抗生剤を飲む治療の一番の副作用は、薬の影響で腸内細菌のバランスが崩れ、下痢をはじめとする消化器症状を引き起こしてしまうことです。

その辺をしっかりと考慮してくれるクリニックでは、副作用を防止するために、除菌を行う一カ月ほど前から腸内細菌バランスを整えるサプリメントや胃の調子を整えるためのサプリメントを処方してくれます。

 

いくら食べても太れない、胃潰瘍を繰り返す、食後の胸焼けを感じる、慢性胃炎である、しっかりと食べているのに栄養素の欠乏が見られる、などの症状が気になっている方は、胃酸の分泌状況の改善や精神的ストレスの軽減などだけでなく、ピロリ菌の感染も疑って、一度調べてみると良いかもしれません。

胃酸を抑える「制酸剤」の副作用

 

胃酸を抑える薬「制酸剤」について

 

今日のテーマは、制酸剤についてです。

 制酸剤(胃酸を抑える薬)は、胃酸が過剰に分泌されてしまうことによる不調を改善するための薬です。

胃液のpHを化学的に中和することで、胃や食道の粘膜を保護し、胸焼けなどの症状の緩和に用いられます。

 

一般には、制酸剤は副作用が少ない薬であると言われていますが、胃酸が過剰なわけではないのに、対処療法として制酸剤を飲むことは、たんぱく質の消化酵素などの生産に悪影響を与える恐れがあるため、注意が必要であると言われています。

 

これまでのブログを読んでくださった方は、胃酸がいかに大切かをおわかりいただいているかと思います。

 

胃酸を抑えることによって、たんぱく質の消化不十分だけでなく、炭水化物や脂質の消化力の低下や、ビタミン・ミネラルの吸収低下、さらに、腸内環境の悪化などによって、様々な不調を引き起こす恐れがあると考えられます。

 

以前のブログでも書いたように、胃の不調の原因となっているのが、実は胃酸の不足によって起こっているケースが多いということを考えると、胃薬を飲むことには慎重になるべきであると考えられます。

 

そして、胃が適正量の胃酸を作り出す能力を回復させるようにすることや、消化を助ける工夫をすることで胃の負担を軽減するように心がけることが大切です。

胃酸が不足しているとわかった時の対処法

胃酸が不足していても、いなくても、必ず心がけたいこと

 

これまで数回にわたって、胃酸の大切さについて書いてきました。(最初から読みたい方はこちら

ご自身の胃酸が不足しているとわかったら、ぜひ実践していただきたいことがあります。これは、胃酸が不足していない方にとっても大切なことです。

それは、食事に集中して、よく噛んで食べる!ということです。

 

咀嚼という行為は、食べ物を物理的に分解するだけでなく、消化酵素や胃酸を分泌するのを促進するため、非常に重要なものなのです。

 

忙しくて十分に食事時間を取れずに急いで食事をしていたり、テレビを見ながら、仕事をしながら、といった、「ながら食べ」をしている方は特に、要注意です。

食べ方によって、胃酸の分泌や、消化吸収力はだいぶ変わってきます。まずは、よく噛んで、食事に集中して食べるということを心がけましょう。落ち着いてゆっくりと食べれば、満腹感も起こりやすく、食べすぎを防ぐことにもつながります。

 

 

ストレスコントロールも大事!

 

また、ストレスが胃酸の分泌に与える影響も、とても大きいと考えられます。ストレスがあると身体が緊張し、胃酸の分泌を減らしてしまうのです。

「毎日忙しくて、ストレスを減らすなんて無理!!」という方も多くいらっしゃるかもしれません。

 

しかし、ストレスが身体に与えるダメージを知れば知るほど、いかに心の状態が私たちの身体の状態を関係しているかということを痛感させられます。

 

なるべく、頑張り過ぎを避け、ストレスをためないようにして、せめて食事の時間だけでも、ゆったりとした気持ちで食べることができるように心がけていきましょう!

 

 

 

胃酸の働きを助ける食材

 

レモン汁で消化力アップ!

 

昨日のブログで、簡単にできる胃酸の分泌状況チェック法を紹介しました。

明らかに胃酸の不足があるとわかった場合には、その原因を探り、適切な対処をしていくことが大切ですが、体質的に胃酸の出にくい方や、ストレスの影響などで一時的に胃酸が出にくくなって消化が悪くなっているときなどは、一番手っ取り早い方法として、レモン水を用いる方法があります。

レモン水の作り方は簡単!

レモン汁を大さじ1杯(15ml)に、45mlの水を入れて薄めます。このレモン水は、胃酸のpHと近いため、これを食事と一緒に摂ることで胃酸を補う効果が期待できます。飲み方は、一口食べたら一口レモン水を飲む、という要領で行い、食事の前半にレモン水を飲み切ってしまってOKです。

これは昨日のブログで紹介した、胃酸の分泌状況の自己チェック方法と要領ですね。

 

胃酸の分泌を促す食材

 

胃酸の分泌を直接刺激する作用があるといわれている成分を含む食材もあります。

 生姜、ゴーヤ、パセリ、ペパーミントなどです。これらの食材を意識的に食事に取り入れたり、食事の前にショウガ湯やペパーミントティーを飲むのもおすすめです。

 

たんぱく質の消化を助ける食材

 

たんぱく質が豊富な食事をする場合には、胃酸の必要性が増すため、胃酸が少ないと感じている方は特に注意が必要となります。そこで、直接的に胃酸分泌を刺激するだけでなく、消化を助けるためにもおすすめの食材があります。

それは、たんぱく質の消化のために必要な「酵素」を含む食材です。

酵素には様々な種類があり、たんぱく質の消化を助ける働きを持つ酵素は、「プロテアーゼ」と呼ばれます。

 

プロテアーゼを含む食材の例 →大根、キャベツ、ショウガ、玉ねぎ、パイナップル、キウイ など (加熱していないものに限る)

 

これらの食材には、栄養素の分解を助ける働きを持つ酵素が含まれています。

 

例えば、肉料理にレモン汁や生のキャベツを添えたり、大根おろしとともに食べたりするのは、味の面だけでなく、消化の面でも理にかなっていると言えます。

 

 尚、たんぱく質の消化に限らず、炭水化物の消化を助ける「アミラーゼ」や脂質の消化を助ける「リパーゼ」も、食物を分解する上で大切な働きをしています。

 ちなみに、生の食品に含まれている酵素は、ほどんどが48℃以上の温度で変性して活性を失ってしまうため、酵素の面だけで考えた場合には、生で摂ることが有効であると言えます。

 ただし、食材の中にどれだけの量の酵素が含まれているかなどについては、まだハッキリとわかっていない点も多いようです。それを科学的に検証するには、膨大な費用と時間を費やすだろうと言われています。食物の種類や栽培方法などによっても、含まれる酵素の力は変わってきます。また、生の食材には、酵素が含まれている反面、加熱されていない分、消化に時間がかかり実は胃腸に負担がかかることもある、という、逆の面も持ち合わせているとも言われています。

そのため、その人の体質にもよりますが、生の食材を取り入れるのもほどほどにした方が良い場合もあります。

 

消化に関する「体質」については、またの機会にお伝えしていきたいと思います!

 

消化酵素のサプリメントについて

 

食べ物の消化を助ける効果が期待できる、消化酵素サプリメントというものもあります。消化酵素サプリは、食後に胃がもたれる方や、胃腸の調子が悪い場合にも有効です。

 

これは、いわゆる「酵素ドリンク」とは異なり、食事と一緒に摂ることで消化酵素を補い、消化力の向上を助けるためのものです。

 

ちなみに、日本で一般的に健康食品として扱われている「酵素ドリンク」は、食品衛生法に基づく分類でいうと「清涼飲料水」にあたり、出荷前の段階で加熱処理をすることが法律で定められているため、酵素としての活性はほとんど失っていると考えられます。

 

中には非加熱のもの(粉末状のものなど)もあり、酵素をわずかに含んでいるものもあると言われていますが、これらも酵素ドリンクと同様、酵素自体が主成分になっているわけではありません。

 

しかし、だからといって「酵素ドリンク」を摂取する意味がないというわけではありません。

健康食品としての「酵素ドリンク」は、原材料をその食物のもつ酵素のチカラで発酵、熟成させることで、成分が分解されて低分子化しているので消化吸収されやすく、さらに発酵によって健康に役立つ有用菌も生まれていたりするので、これらの成分は消化器に負担をかけずに、栄養素や有効成分を身体に供給してくれるというメリットがあると言えるでしょう。

 

ただし、消化を助けるための消化酵素自体を補いたいのであれば、「酵素ドリンク」ではなく、「消化酵素サプリメント」が有効であるということです。

 

次回は、制酸剤の副作用についてです。

 

 

 

 

あなたの胃酸の量は足りていますか?

 

胃酸の量は自分でチェックできる?!

 

これまで数回に渡って、胃酸の重要性について書いてきました。

ここまで読んでいただいた方は、自分の胃酸が適切量分泌できているか、気になってきますよね。(最初から読みたい方はこちら

そこで今日は、自分の胃酸の分泌状況を自分でチェックする方法を紹介したいと思います。

 

栄養療法の進んでいるアメリカなどでは、胃酸の重要性がとても重視されており、胃酸の分泌量をチェックするための機器も普及しているそうです。

 

しかし、残念ながら、日本では、胃酸の重要性を認識している医療機関はまだまだ少なく、胃酸の分泌量を直接測定するような機器を持つ医療機関はありません。

 

ところが! 簡単に胃酸の分泌量をご自宅でチェックできる方法があります。

この方法は、最先端の栄養療法をレクチャーしている「栄養療法塾」を主宰する、佐藤章夫先生の講座でも紹介されており、実際に佐藤先生のクリニックでも患者さんに対して行ってもらっている方法だそうです。

 

胃酸の不足によって引き起こされる不調は実に様々ですが、直接的に引き起こされる症状としては、胃がもたれる、胃が痛む、胸焼け、膨満感、脱力感、眠気、おなかにガスがたまる、おなかがはる、ゲップなどがあります。

これらの症状が気になっているという方は、胃薬を飲む前に、まずは胃酸の分泌量のチェックをおこなってみると良いかもしれません。

(ただし、これはあくまでも自分で簡易にチェックを行うための方法であり、「診断」を行うためのものではありません。気になる症状が続く方は、別の原因が関係している場合も考えられますので、早めに医療機関を受診するようにしましょう。)

 

胃酸の分泌状況のチェック方法

1.レモン汁を大さじ1杯(15ml)に、45mlの水を入れて薄めます。

 2.食事を食べながら、レモン水を飲みます。チェックを行う場合は、たんぱく質などが十分に含まれる通常のメニューを食べます。一口食べたら一口レモン水を飲む、という要領で行い、食事の前半にレモン水を飲み切ってしまってOKです。

このレモン水は、胃酸のpHと近いため、これを食事と一緒に摂ることで、胃酸を補うのと同じ効果が得られるというわけです。

 3.食後2~3時間後に、自分の身体の状態をチェックし、判定します。

チェックの時に食べたものをメモしておくと尚良いです。一回だけではよくわからない場合もあるので、その場合は2~3回行ってみましょう。

 

判定

 ★胃が重く、不快感を覚えた場合→ 胃酸の分泌は、ある程度十分であると考えられます

 ★いつもよりスッキリすると感じたり、いつもより空腹感を感じり、疲れない、眠くならないと感じた場合→普段の胃酸の分泌量が不足している可能性があります

この方法は、とても手軽に自分で胃酸の分泌状態を調べることができる便利な方法ですが、中には、胃酸の量がとても少ないのにその状態が当たり前になってしまっていて、自分で調べても良くわからない、と感じる方もいらっしゃるようです。

 

胃酸の状態を、もっと数値化して調べたい!という場合には、血液中のペプシノーゲンを検査するという方法もあります。

それについては、また今度!

胃酸の不足が逆流性食道炎や胃もたれ、胸やけなどを引き起こす理由

なぜ胃酸が足りないのに逆流性食道炎になるのか?

 

前回のブログで、「胃酸の不足が逆流性食道炎や胃もたれ、胸焼けの原因となっていることがある」と書きました。

 

それでは、なぜ、胃酸が不足していると、胃酸が食道まで逆流してきてしまったり、胃酸が過剰なように感じられたりすることがあるのでしょうか。

 

それは、胃酸には、「食道括約筋」という筋肉を働かせる役割もあることに起因します。

 

食道括約筋とは、食道と胃の境目にあり、胃酸が食道へ上がってくるのを防いでいる筋肉です。食道括約筋は、胃内のpHが胃酸のよって下がって強酸状態になると収縮して、食道と胃の通路を閉じる仕組みになっています。

 

中には、胃酸の分泌量が多すぎて、胸焼けや胃酸の逆流などが起こっているケースもありますが、胃酸の分泌量が少ないがために、食道括約筋の働きが弱くなってしまっていることがとても多いと言われています。

 

また、胃酸の刺激によって、消化物が小腸まで送られて、胃から先の消化を進めるためにも胃酸が不可欠となります。  胃酸の分泌量が少ないと、これらの機能が十分に働かなくなって、胃酸が食道まで逆流しやすくなったり、胃から腸へと食べ物が送られにくくなることによって、消化不良や膨満感を引き起こすことにつながります。 

 

胃の入り口や出口の筋肉は、加齢と共に弱くなってくるため、こういったトラブルは年齢を重ねるほど起こりやすくなると言われています。ただでさえ消化機能が弱くなっている所に、消化をコントロールしてくれるはずの胃酸を抑える薬を飲んでしまったら、ますます悪循環に陥ってしまう恐れがあるということです。  

 

従って、逆流性食道炎などの症状がある場合、できれば症状を抑える対処療法としてすぐに制酸剤(胃酸を抑える薬)を飲むのではなく、まずはご自身が十分な量を分泌できているのかどうかを知っておくべきであるといわれています。

 

もしも胃酸の分泌量が少ないということが分かった場合には、適正量の胃酸を作り出す能力を回復させるための対処をしていくことが望ましいと言えます。

 

 

胃酸不足によって様々な不調が起こりやすくなる!

 

その他にも、胃酸が不足すると、たんぱく質やビタミン・ミネラルの不足や、病原菌やバクテリアの増殖なども起こりやすくなります。

①たんぱく質の吸収力低下→ 貧血 、むくみ、筋力の低下、抵抗力の低下、イライラ、うつ、食欲不振、疲労、脱力、虚脱 など

②ビタミン・ミネラル吸収力低下→ 神経機能の低下、骨がもろくなる、抵抗力の低下、疲労、脱力 など

③病原菌・バクテリアの増殖によって起こること→ 胃炎、胃潰瘍、胃がん、カンジダ症 など

 

胃酸が不足すると、実に様々な不調を引き起こしやすくなってしまうのですね。

胃酸が不足する原因

尚、胃酸が不足する理由としては、様々な要因が考えられますが、もともと体質的に胃酸分泌が少ないタイプであったり、慢性ストレス、食生活、不適切なダイエット、加齢なども大きな要因となります。

 

また、長期的に糖質制限食を摂っていると、血糖値を上げる働きをもつ「グルカゴン」というホルモンの分泌が促進されると言われています。そして、グルカゴンは、血糖値を上げるだけでなく、胃酸を止める働きを持つとも言われています。従って、極端な糖質制限食を長期に渡って続けることは、重篤なⅡ型糖尿病などでない限り、あまりおすすめできません。