高濃度ビタミンC点滴は免疫力を下げる??

以前にも、「ビタミンCサプリの摂り方のコツ」について書きましたが、今日はさらに具体的に、効果的な摂取方法と、気になる高濃度ビタミンC点滴の情報についてです。

ビタミンCで免疫力アップができるって、本当なの??

私たち人間は、体内でビタミンCをつくることができないので、食べ物から補うしかないのですが、ヒト以外の哺乳類の多くはビタミンCを体内で作ることができます。

例えば、ヤギは一日に13g(13000㎎)ものビタミンCを体内で作っていますが、風邪をひたときにはなんと一日に100g(10万mg!)のビタミンCを生成するということがわかっているそうです。専門家の間でも、哺乳類は本来、mg単位ではなくグラム単位でのビタミンCを必要としているのではないか、といわれています。

厚生労働省の示しているビタミンCの一日の推奨量は100㎎(0.1g)となっていますが、それはあくまでもビタミンCの欠乏症である「壊血病」を防ぐために最低限必要な量なのであって、身体の状態によってはその何倍、何十倍ものビタミンCを必要としているというわけです。

身体が疲れている時や、体調不を改善したいとき、免疫力を上げたいときに、ビタミンCはぜひとも積極的に取り入れたい栄養素の一つなのです。

(こちらも参照→ビタミンCをたくさん摂るべき人とは」

ビタミンCを効果的に効かせる方法とは

そこで、より効果的にビタミンCの恩恵を受けるために、なるべくたくさんのビタミンCを身体の中に留めておきたいところなのですが、ビタミンCは身体に吸収されやすいという性質がある一方、排泄もされやすいという性質も持っています。そのため、サプリメントをこまめに摂ってビタミン血液の中のビタミンC濃度をなるべく高く保つことが、ビタミンCを効果的に「効かせる」カギとなります。

まず、ビタミンCは一度に大量に摂っても吸収率がさがってしまい効果的に身体の中に取り入れることができないということを考慮します。ビタミンCの一回摂取量と吸収率の研究によると、一回摂取量が60mgであれば100%吸収されるけれど、1000㎎だと75%程度となり、2000㎎を超えると急激に吸収率が落ちて半分以下にまで落ちてしまうというデータが示されているそうです。従って、一回の摂取量を1000mg(1g)ぐらいが良いということになります。

そして、摂取したビタミンCが腸から吸収されて、血液中のビタミンCの濃度が上昇します。上昇したビタミンCの血中濃度は、4時間後にはもとに戻ってしまうということが分かっています。そこで、4時間おきにビタミンCを摂れば血中濃度が高い濃度をキープすることができますよね。きっちり4時間でなくとも、一日のうちで3食の食事を食べるときに一緒に摂取するという方法だとわかりやすいし、ビタミンCを食事を一緒に摂れば鉄や亜鉛などのミネラルの吸収アップを助けてくれるのでおすすめです。

さらに効果を高めたいという場合は、1時間ごとにビタミンCを摂ることで、血中濃度をより高くすることもできます。

この方法だと、一日に10g以上のビタミンCを摂取することが可能というわけです。

ですが、こんなにビタミンCをたくさん摂ってお腹を壊したりしないの??と思いませんか?

実は、ビタミンCは病気や体調によって、腸の吸収が変わってくるのだそうです。通常は、ビタミンCは10gを超えると腸が吸収しきれず下痢を起こすと言われていますが、逆に、ビタミンCをたくさん摂っても下痢が起こらないときは、身体がビタミンCを通常よりも多く必要としていて、吸収力が上がっていると言えます。

私も、いつもより疲れているな~、と感じるときや、風邪のひきはじめなどには、なるべくこまめにいつもよりも多めのビタミンCを摂るようにしています。

最大限にビタミンCの血中濃度を上げるのは、「高濃度ビタミンC点滴」

通常、私たちの血液中に含まれるビタミンCの量は血液1dlあたり0.7㎎程度であると言われています。サプリメントでビタミンCをとった場合でも、どんなに頑張ってもビタミンCの血中濃度は最大でも3.9mg/dlぐらいまでが限界なのだそうです。ですが、さらに血中濃度をあげる方法があります。それが高濃度ビタミンC点滴です。

ビタミンC点滴では、血中濃度を400㎎程度まで上げることが可能であると言われています。(50~75gの点滴を行った場合)大量ビタミンC点滴はガンの治療にも用いられて注目されている治療法で、ビタミンC濃度が400まで上がるとガンが消滅する、という論文も発表されています。ですが、ビタミンCの点滴が効くタイプのガンとそうでないタイプもあり、この治療の効果はかなり個人差があるともいわれています。

それにしても、平常時は0.7程度のものを400まで上げるなんて、ものすごい差ですよね。

高濃度ビタミンC点滴は免疫を下げる?!

免疫力を上げる効果が期待できるということで、今大変注目されている高濃度ビタミンC点滴ではありますが、その一方で、ビタミンC単体を大量に点滴してもあまり効果がないばかりか、かえって逆効果になるのではないか、という意見もあります。
岐阜大学「抗酸化研究部門」犬房教授のこちらの動画によると、『過去の論文を調べても、ヒトに対するビタミンCの大量投与による優位な免疫上昇の効果があるというエビデンスはない』としています。
また、教授の研究室ではビタミンC点滴に関する次のようなマウスの実験を行っています。マウスに、人間に換算すると体重60㎏の人が50gのビタミンCを大量点滴したものと同じ条件になる量を一回投与したところ、NK活性(=ナチュラルキラー活性。ガンに対抗する免疫)が約数パーセント上がったとしています。しかし、3日間続けて同様のビタミンC点滴を行うと、なんとコントロール群の半分にNK活性が下がってしまったのだそうです。しかも、脾臓が通常よりも非常に小さくなっていて、免疫抑制がかかっているのではないかと考えられる、つまり、ビタミンCの大量点滴を継続すると、免疫が落ちる恐れがある、としています。
ちなみにこの実験は、犬房教授が開発されている「TwendeeX」という抗酸化配合剤(有効成分・・Lグルタミン、ビタミンC、Lシステイン、コエンザイムQ10、コハク酸、フマル酸、ビタミンB2、ナイアシン)の効果を実証するために行われた研究で、実験結果によると、抗酸化配合剤の一回投与ではNK活性が30%上昇、3日間連続投与では60%上昇という結果となっています。

この抗酸化配合剤に関する研究は今も継続中で、TwendeeXの医療従事者への無償提供も始まっているようなので、要注目です!

まとめ

★ビタミンCサプリを効果的に摂取するには、4時間おきに1000㎎のビタミンCを摂るのがおすすめ。

★さらにたくさん摂りたい!という場合は摂取する間隔を短くして摂る。ビタミンCの摂取量を増やすことでお腹を壊す場合は吸収しきれていないということなので量を減らす。

★ビタミンC点滴はビタミンCの血中濃度を最大限に上げることができる方法である。ただし、継続して大量投与することによる弊害も報告されている。

★ビタミンC単体を大量に摂るよりも、抗酸化物質をバランスよく組み合わせたものを摂ることで、より効果的に免疫力をアップできると考えられる。

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