「インスリン」とは?血液検査の「インスリン」からわかること

知っているようで知らない「インスリン」の働く仕組みや、「インスリン」が出過ぎるとなぜ良くないのか、また、血液検査の「インスリン」の見方などを、わかりやすく説明します。

インスリンの働き

「インスリン」とは、膵臓から分泌され、血糖値を下げる働きをするホルモンです。

インスリンは、24時間継続して少量で続ける「基礎分泌」と、糖質摂取後一時的に血糖値が上がった時に出る「追加分泌」として分泌されます。つまり、なにも食べていないときでも、人体には少量のインスリンが必要とされているのです。このインスリンの「基礎分泌」がなくなると、人体のほとんどの組織ではエネルギー代謝をまともに行えなくなってしまいます。そして、「追加分泌」されたインスリンは、血液中のぶどう糖を骨格筋や心筋などの細胞内に取り込み、エネルギー源として使えるようにしてくれます。また、インスリンは、血液中の余分なぶどう糖を体脂肪に変える働きもしています。

尚、追加分泌のインスリンには、すぐに出るものと、遅れて出るものがあります。正常な場合は、血糖値が上昇し始めると即インスリンが追加分泌されます。(第一相反応という) もともと蓄えられていたインスリンが5~10分間分泌され、糖質を摂った時の高血糖を防いでいるのです。そしてそのあと少し遅れて、第二相反応と呼ばれるやや少なめの持続するインスリン分泌が行われ、食事を摂った時の糖質の残りをカバーします。そして食事が終わってしばらくすると、第一相のインスリンがまた蓄えられるという仕組みになっています。

このようにして、インスリンの働きによって血液中の糖が増えすぎないように調節が行われているわけですが、血糖値を下げる働きを持つホルモンは、唯一このインスリンだけです。

血糖値を下げるホルモンと、血糖値を上げるホルモン

血糖値を下げる働きを持つホルモンはインスリンだけであるのに対して、血糖値を上げる働きを持つのは、ACTH(副腎皮質刺激)ホルモン、コルチゾール・アドレナリン・成長ホルモン・グルカゴン・甲状腺ホルモンなど、たくさんあります。これらはインスリンに対抗して働きホルモンであることから、「インスリン拮抗ホルモン」とも呼ばれます。インスリンの過剰分泌によって血糖値の急降下が起こるとき、インスリンに対抗してインスリン拮抗ホルモンが分泌されることになります。従って、インスリンの分泌が少ない方が、血糖値を上げるホルモンの分泌も少なく済んで、血糖が安定しやすくなるというわけです。
急激な血糖変動によるホルモンのアンバランスは、自律神経のバランスを乱し、糖尿病だけでなく、うつ病、アレルギー症状などの他、多くの症状を引き起こす原因となります。逆に、穏やかな血糖の変動は、穏やかな心身を保ちます。

 

インスリンが出すぎることによる弊害

糖質をたくさん食べ、インスリンがたくさん出て、血糖の上下動がさほど起こっていなかったとしても、今度はインスリンが過剰に出すぎている高インスリン血症という状態になります。この高インスリン血症も問題で、膵臓に負担がかかるだけでなく、例えば、インスリン自体ががん細胞を増殖させてしまう原因なのではないかという意見もあります。また、インスリンの働きで脂肪細胞の取り込み口が開くと、太りやすくなってしまいます。つまり、インスリンの分泌が過剰だと、血糖値は正常だけど太るという現象が起こります。このように、高血糖も血糖の上下動も良くないし、インスリンの分泌が過剰になることも良くないため、必要最小限のインスリンで血糖値をなだらかに保つことが、身体にとって一番負担が少ないと言えます。
(2010ランセット発表によると、2型糖尿病に対する、インスリンを使用しての厳格な血糖コントロールは、低血糖をもたらし、死亡のリスクを高める。従って、生活習慣の改善と、低インスリン血症のリスクのないインスリン感受性改善薬を第一選択をすべきである、としています)

人種によるインスリン分泌能力の違い

同じⅡ型糖尿病でも、欧米人に多いタイプと日本人に多いタイプがあり、発症のメカニズムが異なると言われています。
欧米の人は日本人よりもインスリンを出す力が強く、たくさん食べても十分なインスリンが出るため、血糖が上がりにくく、太らない限り糖尿病になりにくい人が多いと言われています。血糖値が上がる前にインスリンがどんどん出るため、体内の糖は脂肪細胞の方へ取り込まれていくので、必然的に太りやすくなるというわけです。こうして肥満になると、今度は脂肪細胞からインスリンの働きを邪魔する物質が出てきて、インスリンが出ていても効きが悪くなってきて(=インスリン抵抗性)、糖尿病を発症します。従って、欧米人の場合、太っていれば糖尿病リスクが高く太っていなければ少ないというわかりやすさがあるのです。このような経過をたどる欧米人については、糖尿病の治療としてまずカロリー制限を行って痩せることが優先されてきました。
一方、日本人(アジア人全般)の場合、欧米人よりもインスリンを出す力が弱い人が多く、肥満になる前に血糖値が上がってしまう人が多いのです。実際に、2型糖尿病を発症する人の半数以上は肥満ではないと言われています。

 

インスリンの分泌能力を保つには

膵臓からのインスリン分泌能力は、年齢と共に低下していていきます。分泌能力が弱くなるスピードは個人差があり、いつも過剰な糖質を食べていてインスリンの分泌頻度が多いほど、膵臓に負担がかかり傷みやすいと考えられます。さらに、普段から筋肉を使っている人ほど、インスリンに対する反応性が良いこともわかっています。従って、血糖値を安定させるためには毎日の食生活に気を付けるだけでなく、運動をすることである程度の筋肉量を保つということも、とても大切です。

血液検査の「インスリン」の見方

血中インスリン濃度の目安は、空腹時で2~3ぐらいです。インスリン値を見るときは、グルコースとのバランスを見ることが大切です。例えば、血糖値が低めなのにインスリンが多く出ている場合は、バランスがおかしいと考えます。(=反応型低血糖症)※下記参照

尚、溶血があると赤血球から漏出したプロテアーゼによってインスリンが分解されて、インスリン値が本来の値よりも低値になるで注意が必要です。

インスリンの分泌や効きが正常になり、血糖の変動が安定してくると、不定愁訴や睡眠状態、目覚めの感覚、頭痛、動悸、皮膚症状など、様々な自覚症状の改善が見られやすくなります。

また、インスリン以外の血液データからもインスリンの状態を予測することができます。インスリン抵抗性が改善し糖の代謝が改善してくると、HDLーCが低すぎた人はHDL-Cが上昇、中性脂肪が高すぎた人は中性脂肪が低下、というように、データの適正化が見られるようになります。また、脂肪肝に付随するGPTやγGTP値が高すぎた場合も、糖代謝の改善に伴って値の改善が見られるようになります。
逆に、中性脂肪や肝臓の数値が年々上がっていたり、HDL-Cが年々下がってきていたりする場合、糖の代謝が乱れてきているのかもしれないと考えられます。

※低血糖症のパターンについて

(低血糖症の基本的な内容はこちら

「低血糖症」にはいくつかのパターンがあります。いずれの場合も、インスリンの分泌に問題があるのですが、通常の検査では血糖値もHbA1cも異常値が出ないところがやっかいです。

それそれのパターンとその特徴は以下の通りです。

◆反応性低血糖症・・糖負荷後血糖値が急上昇し、急降下するタイプ。

食後にインスリンが出すぎるせいで、血糖値が下がりすぎてしまいます。40台ぐらいまで急降下してしまうこともあります。非常に甘いものが食べたくなったり、食後なのにお腹が空くと訴えたりする。このタイプは若い人に多いと言われています。

◆無反応性低血糖症・・糖摂取後も血糖値が全然上がらない(変動が10程度)

血糖値の変化がない代わりに、インスリンが乱高下するタイプ。このタイプも若い人に多く、慢性疲労や抑うつ、朝起きられないなどの症状が出やすくなります。

◆乱高下型低血糖症・・血糖値が上がったり下がったりを繰り返す。

血糖値が安定せず、一日のうちで乱高下を繰り返します。

 

~糖尿病や低血糖症を防ぐ食事については、こちらをチェック!~

血液検査の「血糖値」・「ヘモグロビンA1c」からわかることと、「低血糖症」について。

血糖値やヘモグロビンA1cとは何か、そしてそれらが高過ぎるとなぜ良くないのか、さらに、血糖値が下がりすぎる「低血糖症」とその対処法についてわかりやすく説明します。

血糖値とは?

血糖値(blood sugar=BS)とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。血液1㎗(100mg)中、何mgのブドウ糖が含まれているかを数字で示していますので、単位はmg/㎗となります。

糖尿病は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが膵臓から十分に出ない、またはインスリンが十分に働かないために、血糖が高くなってしまう病気です。

高血糖の状態が何年間も続くと、血管が傷つき、心臓病や失明、腎症、足の壊疽などといった重い合併症引き起こす、非常に怖い病気です。

一般的に言われている血糖値とヘモグロビンA1cの正常値は以下の通りです。
空腹時血糖110mg/dl未満
75g糖負荷2時間後血糖値140未満
ヘモグロビンA1c6.2(NGSP)未満

 

そして、糖尿病の診断基準は以下の通りです。

空腹時血糖(fasting blood sugar=FBS)126mg/dl以上
75g糖負荷試験2時間後血糖が200以上
または、随時血糖200以上
ヘモグロビンA1cが6.5以上

糖尿病患者の場合、空腹でも血糖値が200を超えることもあり、食後には軽く300を超えてしまうこともあります。ヘモグロビンA1cは、9%を超えると、合併症への危険が急激に上がると言われています。

血糖値が正常値と糖尿病と診断される値の間にある場合は、「境界型」と呼ばれます。

栄養療法では、糖尿病の診断だけでなく、血糖値の変動をとても重視しています。なぜならば、食後血糖が高ければ高いほど血管にダメージが加わり、動脈硬化が進むということがわかっているからです。糖尿病の合併症を予防するためには食後の血糖を上げないようにすることがとても大切です。

ヘモグロビンA1cとは?

ヘモグロビンA1c(HbA1c)とは、ヘモグロビンにブドウ糖が結合した割合を見る検査です。血糖値が高ければ高いほど増加しますが、血糖値と違って過去1~2か月の血糖の平均を反映します。血糖値は検査直前に節食すると低下しますが、ヘモグロビンA1cは一時的に食事を変えただけでは変化しないので、血糖コントロールの良い指標になります。ただし、あくまでも平均値なので、食後高血糖を反映せず、血糖の変動を知ることはできません。(グリコアルブミンの方が血糖の変動を知るより良い指標となります)

ヘモグロビンA1の「基準値」は4.3~5.8%となっていますが、後に述べる通り、低すぎることも問題で、だいたい5~5.2%ぐらいまでが理想的な値です。6%を超えるようだと糖尿病特有の合併症が起こるリスクが高まると言われています。

尚、ヘモグロビンA1cはアルコール多飲、大量のビタミンC、高ビリルビン血症、再生不良性貧血、尿毒症などで高値を示すこともあります。
逆に、赤血球の寿命が短くなるような溶血亢進、鉄欠乏性貧血、また、肝硬変、出血後、妊娠などによって低値になることがあります。

血糖値やヘモグロビンA1cが基準値でも、注意が必要な場合とは?

糖尿病の初期段階では自覚症状がほとんどなく、気が付かないうちに徐々に糖の代謝異常が進行してしまいます。

健康であれば、血糖値は通常90ぐらいに保たれており、食後の血糖値の変動はプラス50~60ぐらいの範囲におさまります。そしてその後、急激に血糖値が下がりすぎたりすることもなく、食事後2~3時間もすれば、血糖値は元に戻ります。
人によって食後の血糖値のピーク時間は異なり、60分の人もいれば、120分ぐらいの人もいます。

しかし、血糖値の調節がうまくいっていない人の場合、気が付かないうちに食後の高血糖が起こり、その反動で今度は血糖値が下がりすぎる、という、血糖値の乱高下が起こるようになります。

血液検査で血糖値やHbA1cが正常でも、糖尿病の前段階として、食後の高血糖や、血糖値を適切な状態に維持できない「低血糖症」が起こっている場合があります。通常の空腹時血糖やHbA1c、糖負荷後2時間後の検査だけでは、血糖コントロールの状態を十分に把握できず、血糖コントロール不良を見逃してしまうことがあるのです。

 

 

低血糖症とは?

血糖値は、通常は上がりすぎたり下がりすぎたりしないように、体内のホルモンの働きによって調節が行われています。その調節がうまくいかず血糖値が下がりすぎてしまうのが「低血糖症」です。

低血糖症にもいろいろなパターンがあります。食後高血糖の反動で血糖値が急降下する、または一日のうちで血糖値が下がりすぎてしまう時間がある、あるいは、血糖値の変動がない代わりにインスリンの分泌が乱高下しているというパターンもあります。どのパターンにも共通しているのは血糖値の調節がうまくできない状態になっているということです。

低血糖症があっても、多くの場合は健康診断で採血をした時には血糖値が基準範囲内に入っているので問題視されません。しかし、血糖値やインスリンの変動は、ホルモンや自律神経のバランスを乱し、精神状態にも大きな影響を与え、膵臓、副腎、肝臓などにも負担がかかるようになります。そして、慢性的な疲労感、憂うつ感、イライラ、頭痛、情緒不安定、PMSなど、人によって様々な不定愁訴が起こるのです。また、交感神経が優位な状態になり、アドレナリン・ノルアドレナリン(興奮性のホルモン)が分泌されることから、リラックスできない、動悸、不眠、冷え、手足の震えなどの症状が起こるようになります。中には、「耳に膜が張る感じ」を訴える人もいます。

 

血糖値を丁度良い値に保つためには、副腎が元気であることが必須です。副腎から分泌されるホルモンが糖新生(体内で糖以外のものから糖を作ること。)を促進し、血糖値を上昇させる働きを持っているからです。そのため、低血糖症の背景には、「副腎疲労」が関係していることが多く見られます。

空腹時の血糖値が低めな人は、副腎機能が低下気味で普段から血糖値を充分に保つことができていなかったり、食後に血糖値の乱高下が起きている可能性が高いと考えられます。

目安としては、空腹時血糖が80以下、ヘモグロビンA1cだと4.6を切るぐらいだと、低血糖症の可能性があるかもしれません。上に挙げた不定愁訴の他にも、食後に異常に眠くなったり、甘いものが無性に食べたくなる、よく眠れない、いつもなんとなく具合が悪い、朝の寝起きが悪く目覚めたときから疲れている、などといった症状がある場合は要注意です。逆に、安定した血糖値は、睡眠や、多くの自律神経が関係する症状を改善させます。

 

低血糖症を改善する食事

低血糖症を治す薬は存在しません。低血糖症の背景には、副腎疲労や腸内環境の悪化、自律神経バランスの崩れなど、様々な要素が絡んでいるのですが、まず手っ取り早くできることは、血糖値を安定させる食生活を心がけるということです。以下に食事のポイントを挙げます。尚、これらの食事は血糖値を安定させるための食事なので、糖尿病対策としてももちろん有効です。

①血糖値を上げやすい食べ物を減らす・炭水化物だけの食事は避ける

砂糖やブドウ糖果糖液糖、パンや白米は血糖値を急激に上げ、その反動で血糖値を急降下させやすい食品です。甘いものをやめることと、主食(パンやごはん)を減らしておかずを中心にした食事にする、ということを心がけましょう。玄米や全粒粉のパンには食物繊維が多く含まれ、低血糖を起こしにくい炭水化物です。ただし、胃腸の弱い人は消化がしづらい場合もあるので、胃腸の様子を見ながら取り入れていくと良いでしょう。

②間食にも注意

間食の内容も気を付けましょう。「私は甘いものは食べていません!」という方の食生活をよくよく聞いてみると、実はおせんべいが大好きだったりすることがあります。おせんべいは甘くはありませんが、ガッツリ糖質メインの食べ物です。一見身体に良さそうな野菜ジュースや果物ジュースも、糖分が多く血糖値をもろに上げてしまいます。甘いものやおせんべい、ジュースなどといった糖質メインのものを避け、大豆製品や卵、小魚、ナッツ類など、必ずたんぱく質を含むものを取り入れるようにしましょう。消化力が弱い方は、和風だしやボーンブロスなどのスープでたんぱく質を補うのもとてもおススメです。

③食べる順番

たんぱく質や食物繊維を食べてから糖質を摂ると、血糖値の急上昇を抑えることができます。食事の際は、まずは肉や魚、卵などのおかずを食べ、あわせて野菜料理もたっぷり食べてから、ごはん類を食べるようにしましょう。

⓸食事を抜かない

食事と食事の間隔が長いと低血糖症状を起こしやすく、さらに空腹で食事を摂れば一気に血糖値が上がりやすくなってしまうので、食事を抜くことは避けなければなりません。適度な間隔で食事を摂ることで、血糖値が下がりすぎるのを防ぎ、血糖値を上げるホルモンの異常な分泌も防ぐことができます。朝食を食べることも大切です。血糖値の変動には個人差がありますが、低血糖の症状が出やすい人は、だいたい食後3~4時間ぐらいで何かを食べると良いと言われています。また、低血糖が出やすいのは特に夕方の4時ぐらいですので、昼食から夕食の間には必ず間食を摂るようにします。ただし、②でも説明した通り、間食の内容にも注意します。

⑤調味料に注意

和食はヘルシーなイメージが強いですが、調理法によっては砂糖を多く使う料理もあります。特に、お店で売られているお惣菜には意外と砂糖が多く使われていたり、加工食品には味を良くするために砂糖やブドウ糖果糖液糖がたっぷり入っているものが多いです。あまり神経質になりすぎるのもストレスがたまって良くないのですが、なるべくシンプルな味付けの料理を選ぶことを心がけましょう。

⑥カフェインをやめる

低血糖症の人は、エネルギーをうまく作ることができないので疲れやすく、テンションが低い人が多いです。または、外では身体が頑張ってアドレナリンを出しまくっていて一時的にハイテンションになっていて元気に見えるけれど、家に帰ったらぐったりというケースもあります。このようなケースの場合、カフェインなどに依存することで、無理をして元気を出している人もいます。カフェインは直接副腎を刺激することでアドレナリンを出します。つまり、ただでさえ血糖コントロールが悪く副腎が酷使されているのに、さらに副腎にムチ打をって無理してアドレナリンを出してがんばって血糖値を上げているので、ますます副腎が疲れてしまうという悪循環が起こります。コーヒーや栄養ドリンクがないと元気が出ない!という方は、要注意です。紅茶や緑茶にもカフェインが含まれますので、一日に何杯も飲むという方は、量を控えるようにしましょう。尚、お茶はお湯で出すよりも水出しの方がカフェインが少ないお茶になります。

 

 

 

 

あなたも不足している?マグネシウムの上手な摂取方法

前回のブログでは、マグネシウムの働きや、片頭痛とマグネシウムの関係、マグネシウム不足の原因などについてお伝えしました。

マグネシウムは、現代人は誰でも不足しやすいミネラルなのですが、特に、頭痛や肩こりで悩んでいる方や、まぶたがピクピクする方、足がつりやすい方、疲れがたまっている方、ストレスが多い方、食生活が乱れている方などは、マグネシウム不足に陥っている可能性大です!

血液検査のALPが低いという方も、亜鉛と共にマグネシウムが不足している可能性があります。

マグネシウムは、サプリメントなどで一度にたくさん摂ろうと思っても、一気にたくさん吸収することはできずに便として排泄されてしまいますので、日ごろからこまめに少しずつ摂取することを心がけることが大切です。

そこで、マグネシウム不足にならないようにするためのポイントをいくつかまとめました。

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栄養学とは、曖昧な学問である?!

栄養は、人によっては毒になる?!

 

「○○が身体に良い!」「○○を食べれば痩せる!」などと聞いて、ついついたくさんその食品を食べ過ぎてしまったという経験がある方もいらっしゃるかと思います。

たまたまその食べ方が、自分の体調や体質に合っていれば良いのですが、
その逆だった場合は、せっかく健康のために実施した方法が、かえって体調を崩す原因となってしまうことにもなりかねません。

それでも、一時のマイブームに終わり、長続きしなければ、害も少なくて済むということもあるかもしれませんが、、。

ローマの治療家・哲学者・詩人としても知られるルクレティウスは、2000年以上も前に、「栄養は人によっては毒になる」と、簡潔に述べています。

 

例えば、、

生のブロッコリー、芽キャベツ、カリフラワー、ケール、からし菜、クレソンなどには、「チオシアン酸」という物質が含まれています。

「チオシアン酸」は、化学式HNCSで表される化学物質です。
甲状腺腫誘発物質の一種で、甲状腺ホルモンの生産を抑制する働きがあるため、甲状腺機能低下症と診断されている人などは特に、これらの食品の食べ過ぎには注意が必要であると言われています。

ただし、チオシアン酸は加熱すると、甲状腺抑制の働きを不活性化することができます。

また、ヨードには、チオシアン酸の働きを抑える働きがあります。

従って、もしも甲状腺機能に心配のある方や、チオシアン酸が豊富に含まれる食品を頻繁に使う場合は、加熱調理するか、ヨードを多く含む昆布などを一緒に食べると良いと言われています。

 

例に挙げたチオシアン酸に限らず、身体に良いからといっても、なんでも食べ過ぎれば、「過ぎたるはおよばざるがごとし」ということになるし、人の個性を無視して栄養について考えれば、害になることもあるということなのですね。

 

栄養学の「あいまいさ」について

「栄養学」というと、カロリー計算をしたり、栄養所要量を調べたり、「1+1=2」的な、どちらかというとはっきりした答えのある学問であるという印象を持っている方も多いかもしれません。

しかし、実際には、なかなかそうはいかないものです。

例えば、年齢が〇歳で、体重が○○㎏で、生活活動強度がこれぐらいなら、これだけのカロリーを摂って、栄養素の内訳はこれで、この症状がある時にはこれを食べて、、という「公式」に従えば、みんながみんな痩せたり、体調が改善されたりすれば良いのですが、人間の体はそう簡単にはできていないのです。

なぜなら、人によって栄養素の消化吸収・代謝のされ方も異なるし、個々の今の状態を作った背景には、さまざまに異なる生育環境や生活環境があり、何よりも、人の身体は、機械仕掛けの物質として存在しているわけではなく、想像以上に大きく「心」の影響を受けながら生きているからです。
だから、はっきりとした答えが出ない方が、むしろ当たり前なのかもしれません。

 

その一方で、人の普遍的な欲求として、「身の安全」や「社会的に認められる」といった、基本的な欲求と並んで人間が持っているのが、「明確さへの欲求」であると言われています。

 

リーダーシップとマネジメントについて書かれた名著、
最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと/日本経済新聞社

この本には、次のように書かれています。

「人は未知のものを恐れる性質を持っている。

不安を自信に変えるいちばんの手段は、なんといっても明確さである。」

 

未知のものや不安=現在&将来の健康

と考えると、「○○ダイエット」や「○○健康法」などといった、非常に明確でわかりやすい理論が流行る理由にもうなずけます。

最近では、健康情報が溢れすぎていて、そのような情報を見聞きしてもすぐに鵜呑みにせずに、「また出た-!それ、本当に効くの?!」などと、疑いの目を持っている方も多いとは思いますが、その一方で、心のどこかでは、「○○」を食べたり、実行したりすれば、痩せたり健康を維持できる、という、明確なものを求めているのではないかと思います。

だからこそ、「○○を食べなさい!」とか、「○○はやめなさい」といった、明確な主張をしているものが受け入れられやすいし、流行になったりするわけです。

もちろん、そのような「明確さ」が、時には役に立つこともあります。

しかしその一方で、人間の身体や栄養学に関する答えは、そんな風に簡単に、明確な答えが出ないことも多いということを忘れてはいけないと思います。

そのような曖昧さに対して、「いや、この方が正しい」とか、「これは絶対に間違っている」といって議論することが重要なのではなくて、「栄養学では、あいまいなことも多いのだ」と割り切って捉えながらも、自分なりの答えを出し、自分にとって必要なことを伝えていく力を身につけていくことが大切なのではないかと思います。

そのために、必要な知識を持つことはもちろん、人間を単なる「物質」として捉えるのではなく、ホリスティックな視点で、食べ物や人間の身体について捉えていきたいと考えています。

コエンザイムQ10は、美容や老化防止に役立つ?!コレステロール低下薬による弊害とは?!

今日は、美容や老化防止にも役立つと言われているコエンザイムQ10の働きや、コレステロール低下薬による影響などについて説明します。

コエンザイムQ10とは?

「コエンザイムQ10」は補酵素の一つです。細胞内のミトコンドリアにたくさん含まれ、細胞のエネルギー源となります。ミトコンドリアとは、生命の維持や活動に必要なエネルギーを作り出す「工場」のような細胞小器官です。

コエンザイムQ10は、もともと心臓病の薬として使われていた成分でしたが、アメリカやオーストラリアのオリンピック選手などが心肺機能を高めるためにコエンザイムQ10を使っているということが知られるようになり、サプリメントとして爆発的な人気を得るようになりました。

コエンザイムQ10の働きとは?

エネルギーを生み出す

エネルギー産生の補酵素として必要なので、生きていくために不可欠な成分です。

心肺機能を高める

心臓のエネルギー源となり、心臓のポンプ機能を元気にすることで、血流をスムーズにします。

抗酸化作用

「活性酸素」による細胞膜の酸化は、老化を早めたり、様々な病気の原因となります。コエンザイムQ10は、エネルギーの代謝時に発生する活性酸素を除去する抗酸化物質としても重要な役割を持ちます。

歯周病を改善させる

歯周病のある人の歯肉中のCoQ10は低下していることがわかっており、サプリメント補給をすることで歯周病が改善したという報告もあります。

美肌に役立つ
コエンザイムQ10dは、美白効果やしわを取る効果も期待できると言われています。

その他にも、コエンザイムQ10が不足すると、動悸や息切れ、疲れやすさ、冷え、免疫力低下、痩せにくい、などといった症状を引き起こしやすいと言われています。

コエンザイムQ10は、老化と共に減ってくる?!

コエンザイムQ10は体内で合成することができるのですが、その合成量20歳をピークに加齢とともに減っていまい、体内濃度が下がってくることがわかっています。ですが、サプリメントでコエンザイムQ10を補給して細胞を元気にしてあげることで、心不全や虚血性心疾患が改善したという報告が多数あります。

通常の食物からCoQ10を摂れる量は1日10㎎程度なのですが、健康維持のためには100㎎以上(CoQ10の含有量が多いイワシでも20匹以上!)必要であると言われています。そのため、積極的にCoQ10の効果を実感したい場合は、サプリメント摂取が有効であると考えられます。また、胆汁酸産生力が低いと、脂溶性栄養素の吸収が悪く、CoQ10 や脂溶性ビタミンの吸収も悪くなって不足しやすくなってしまうため注意が必要です。

 

コエンザイムQ10サプリを摂るコツ

抗酸化ビタミンと共に摂る

コエンザイムQ10 をサプリメントで摂ることは、スポーツにより大量に発生した活性酸素を取り除きたい時や、持久力を高めパフォーマンスを維持したい時にも有効であると言われています。抗酸化のためには、ビタミンCやビタミンEとともにコエンザイムQ10を摂ることが効果的です。

食後に摂る

コエンザイムQ10は脂溶性なので、食後に2~3回にわけてこまめに摂ると良いでしょう。エネルギー産生を高めるためにビタミンB群と一緒に摂ると良いという点から見ても、食後に摂ることが有効であると言えます。

体内で利用されやすい形で摂る

コエンザイムQ10には「還元型」と「酸化型」がありますが、体内で作られるコエンザイムQ10 は「還元型」。酸化型の場合の形で摂った場合、加齢やストレス、体力低下などで還元型に変換する能力が落ちてしまうので、還元型で摂った方が、体内で利用されやすいと言われています。

コレステロール低下薬に注意

コエンザイムQ10の体内での生合成は、「メバロン酸」という原料を使って行われます。この「メバロン酸」は、コレステロールを合成する時の原料にもなります。

血中コレステロール低下剤として有名な「スタチン」には、メバロン酸を産生する酵素活性を阻害して、コレステロールを低下させる働きがあり、それと同時にコエンザイムQ10も低下させてしまうのです。実際に、スタチンの投薬によって、血中のコエンザイムQ10濃度が著しく減少したという報告がなされています。

また、偏頭痛の薬や血圧降下薬の中にも、スタチンと同じように、コエンザイムQ10の合成を阻害するものもあります。

コエンザイムQ10が不足すれば、ミトコンドリア機能が低下し、起立性調節障害や慢性疲労、さらに、全身の細胞機能が低下してきます。

コレステロール低下薬や血圧降下薬を飲むことは、貴重なコエンザイムQ10 の合成を阻害してしまうことになるので、安易に薬を飲むべきではないということですね。

栄養療法を専門とするクリニックでは、どうしてもコレステロール低下剤を飲まなければならないような場合には、CoQ10をサプリで補うことが薦められることが多いようです。(薬を服用中でサプリメントを飲む場合は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう)

 

アミノ酸サプリを摂る目的とは

お肉は身体に悪いの?良いの??

 

皆さんは、「動物性食品は身体に悪いので、なるべく控えましょう」というフレーズを耳にしたことがあるかと思います。

その一方で、「たんぱく質は大事なので、たんぱく質を効率よく摂ることのできるお肉をしっかりと食べましょう」というフレーズを耳にしたことがある方も多いと思います。

この二つの意見は、どちらも正しいと言える反面、必ずしもそうとは言い切れないという側面もあります。

そこで今回は、動物性食品の良し悪しについて、白黒ハッキリするのではなく、「消化」という観点からたんぱく質について考えてみたいと思います。 “アミノ酸サプリを摂る目的とは” の続きを読む

トリプトファン不足の原因は、たんぱく質の摂りすぎ?!の不思議

トリプトファンとは

 

トリプトファンは、たんぱく質を豊富に含む食品に多く含まれている、必須アミノ酸の一つです。

 

トリプトファンは、神経伝達物質であるセロトニンや睡眠ホルモンのメラトニンに変換されます。また、トリプトファンからはナイアシン(ビタミンB3)も生合成されます。

うつや不眠と関係するセロトニンやメラトニンの原料となることから、「うつ予防にはトリプトファン」「よく眠れないときにはトリプトファン」ともよく言われています。

 

 

ムサシの「クアン」にトリプトファンが含まれていない理由

 

アミノ酸サプリで有名な「MUSASHI」の主力商品の「クアン」。

ヘルスメンテナンスやパワーアップ目的で摂取することを目的としたアミノ酸サプリメントということで、

「筋肉の成長に役立つ11種類のアミノ酸がバランスよく配合されています。」

とあります。

 

商品詳細

主成分
L-リジン、L-ロイシン、L-ヒスチジン、L-アルギニン、L-イソロイシン、グリシン、L-バリン、L-チロシン、L-トレオニン、L-フェニルアラニン、L-メチオニン

 

何かお気づきではないでしょうか。

 

そう、必須アミノ酸のうち、トリプトファンだけ含まれていません。

 

私は数年前にこの「クアン」を飲んでいて、ふと成分表を見てこのことに気づき、気になってお客様相談室に電話して聞いてみたことがありました。

 

担当の方の回答は、「トリプトファンは脳血液関門を通過する時に他のアミノ酸と競合してしまうので入れていない」というものでした。

 

私はその当時は、それを聞いても「へっ??? どゆこと?!」という感じだったのですが、よくよく調べてみると、なるほど~!という答えが見えてきました。

 特に参考になったのが、ジョナサンライト著「新・栄養療法」という本です。

 

うつ病治療とトリプトファンについて

 

「新・栄養療法」を元に、トリプトファンの効能とうつ病との関係を以下にまとめてみました。

①トリプトファンはうつ治療に効果がある

トリプトファンには、よく眠れるようにしたり、うつを軽くしたりする作用がある。この方法はうつの治療に広く用いられており、一般的に処方されている抗うつ剤と同等の効き目が得られる上に、薬と違って比較的無害で、短期的使用でも長期的使用でも、服用を急にやめても心配はないと言われている。しかし、そうした働きをするためには、十分な量のトリプトファンが脳の組織中に存在する必要がある。

②高たんぱく食によってうつが悪化する人は、脳内のトリプトファンが足りていない可能性がある

うつや不眠症に悩まされていて、高たんぱく食を始めてから悪化した人の場合、普通の人に比べてトリプトファンの代謝に問題がある体質である可能性が考えられる。このような体質の人の場合、高たんぱく食によって脳内に送られるトリプトファンの量が減少し、さらに症状が悪化することがある。

トリプトファンには、他のアミノ酸と競合して脳内に入りにくくなるという性質がある

トリプトファンは、他のアミノ酸(チロシン・フェニルアラニン・イソロイシン・ロイシン・バリンなど)と同じルートから脳内に吸収される。

トリプトファンはほかのアミノ酸に比べて、ほとんどのたんぱく質食品に比較的少量しか含まれていないアミノ酸である。

従って、高蛋白食品を食べた場合には、トリプトファンの血中値は高まるが、それ以外のアミノ酸の数値も一斉に高まることになり、トリプトファンが脳内に取り込まれにくくなってしまう。

トリプトファンを効率よく脳内に吸収させるためには炭水化物が必要!

ジョナサンライト氏の臨床経験によると、トリプトファンのサプリメントは炭水化物と一緒に摂り、高蛋白食品はその前後1時間半ずつの間は摂らない方が、トリプトファンの効果が表れやすいとのことです。また、ナイアシンアミドがトリプトファンの分解を妨げる働きを持つことから、トリプトファンが脳内に吸収される前に分解されるのを防ぐために、トリプトファンをナイアシンアミドと一緒に摂ると良いことを指摘しています。

トリプトファンを炭水化物と一緒に摂った方が良い理由は、炭水化物を摂取したときに分泌されるインスリンには、脳内にトリプトファンを取り込みやすくする作用があるからです。

炭水化物を摂取すると、血糖値が上がりますよね。すると、その血糖値を下げるために、膵臓からインスリンが分泌され、血中のインスリンの濃度が上がります。インスリンには、トリプトファンと競合するアミノ酸であるBCAAが骨格筋に取り込まれるのを促進する作用があるので、トリプトファンが効率的に脳内に入りやすくなるというわけです。

従って、トリプトファンを脳内に効率よく吸収させるためには、たんぱく質と一緒に適度な炭水化物も摂った方が良いということです。

人間はなぜ、ビタミンC合成能を失ったのか?!

 

ビタミンCは、1900年代初めに、壊血病の予防因子としてオレンジ果汁から抽出され発見された物質です。

化学名は「アスコルビン酸」と呼ばれます。

 

ビタミンCの役割

ここで、ビタミンCの重要な役割をいくつか挙げてみましょう。

コラーゲン生成に欠かせない

ビタミンCはコラーゲンを生成する際に欠かせません。コラーゲンとは、細胞と細胞をノリのような役割をするタンパク質で、身体のほとんどすべての組織を組織を形成するために必要とされます。皮膚や骨の健康のためにも不可欠なものとして知られていますよね。ビタミンCが不足するとコラーゲンが進まず、毛細血管が脆くなる、歯茎から出血しやすくなる、傷の治りが遅くなる、骨や血管、臓器が弱くなる、神経症状など、壊血病の症状が出ます。

強力な抗酸化作用

ビタミンCには抗酸化作用があるため、細胞が酸化することによる障害を防ぎ、加齢によるガンや、心臓疾患を防ぐ、などといった働きがあります。尚、ビタミンEはビタミンCと併用することで効率的に抗酸化作用を発揮することができます。

 

免疫力を高める

ビタミンCは免疫を刺激し、白血球の働きを助け、細菌やウイルスを抑える力を高めてくれます。白血球には、血中に含まれるビタミンCの80倍のビタミンCが含まれていると言われており、病気にかかったときやストレス時には、さらにビタミンCの必要量が上がることがわかっています。

 

抗ストレス作用
副腎には、血中濃度の150倍のビタミンCが存在すると言われています。ビタミンCは、副腎がコルチゾールなどのホルモンを産生するときの材料となるため、副腎は特にビタミンCを必要としている臓器なのです。また、ノルアドレナリンというホルモンを産生するためにも、ビタミンCが使われます。コルチゾールやノルアドレナリンは、ストレスに対抗するために分泌されるホルモンです。だから、ストレス時にはビタミンCの必要量が上がるのですね。

ガンや風邪に効力がある

1970年代、アメリカのライナスポーリング博士は、グラム単位のビタミンC摂取によって、風邪やガンなどに効力があるという報告をしました。ビタミンCは、欠乏症を予防するだけでなく、最適量を摂取することで、風邪を早く治す働きや、発がん物質を抑制する働きがあることがわかっています。ライナスポーリング博士は、分子栄養学の創始者でもあります。

腸管でのミネラルの吸収を良くする

鉄や銅、亜鉛、カルシウムなどのミネラルは、ビタミンCと一緒に摂ることで腸からの吸収率がアップします。

アミノ酸を代謝して神経伝達物質を作る

セロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質を合成するときにも、ビタミンCが使われます。

・トリプトファン(必須アミノ酸の一種)セロトニン

・チロシン(必須アミノ酸フェニルアラニンから作られるアミノ酸)ノルアドレナリン

の反応の際にビタミンCが必要。)

甲状腺ホルモンを作るためにも必要

また、甲状腺ホルモンのチロキシンを作る際にも、ビタミンCは必要となります。チロキシンは、体内の代謝速度を調整するホルモンで、全身の細胞に影響を与えます。

 その他にも、LDLコレステロールの酸化抑制、カルニチン(アミノ酸)の合成促進、胆汁酸合成の促進、抗ヒスタミン作用、シミの予防などなど、実に様々な働きがあります。

 

ビタミンC欠乏は、人間の宿命?!

ヒト以外の多くの動物は、ビタミンCを合成することができる!

人が生きていくために不可欠なビタミンCですが、ヒトの体内ではビタミンCを合成することはできないので、食物などから摂取する必要があります。ところが、ヒト以外の多くの哺乳類たちは、ビタミンCを合成することができます。ビタミンCを体内で作ることができない動物は、モルモット、フルーツバット(果実食性コウモリ)、紅肛門鳴き鳥(熱帯産のヒヨドリ科の鳥)、そして、人間を含む霊長類と、ごくわずかであると言われています。

ビタミンCは、ぶどう糖を材料に、4種類の酵素の働きで作られます。人間の肝臓にも、ビタミンC合成に必要な酵素のうち、3種類までは揃っているのですが、最後のステップに必要な1種類(Lグロノラクトンオキシターゼという酵素)だけが欠けています。

栄養療法の世界的権威、ジョナサンライト医師によると、「血液中のビタミンC欠乏は、人類全体に共通した遺伝的障害である」としています。ビタミンCを合成することができる動物の場合、ストレス時にはビタミンC合成量が著しく増加することがわかっています。ガン物質を与えた実験でも、猛烈な勢いでビタミンCが合成されたと報告されています。

人類はなぜ、ビタミンC合成能を失ったのか?!

ビタミンC研究の第一人者であるライナスポーリング博士は、「人類がビタミンC合成能を失ったのは、脳を守るためだ」と言っていたのだそうです。

人間を始めとする霊長類は、社会生活に適応しながら進化する中で、脳容量が大きくなり、他の動物に比べて重量が重い。そのため、脳のエネルギー源となるブドウ糖糖の需要量も増えたわけです。

そこで、ビタミンCの材料は何だったか、思い出してみてください。そう、ブドウ糖がビタミンCの材料になるのですよね。もしも身体がビタミンCをたくさん必要としている時に、自分でビタミンCを合成する力があれば、ブドウ糖は激しく消費されることになります。

脳が大きい霊長類にとって、脳機能を維持するためにはブドウ糖が重要であるため、2500万年前の人類の遺伝子は、あえてビタミンC合成能を失うことで、ブドウ糖を温存するという道を選んだということでしょうか。また、果実など、ビタミンCを外から容易に摂取できる環境が整っていたという点も、ビタミンC合成能を失った一つの要因となっているのかもしれません。

壊血病と、ネイティブアメリカンの知恵

ビタミンCの欠乏症である壊血病は、古くから原因不明の奇病として恐れられてきました。壊血病の予防には柑橘類や野菜が有効であるということが知られるようになるまで、多くの人の命が壊血病によって失われました。日本では、一年を通して野菜が収穫できたことや、雪の多い地方では漬物を食べていたため、壊血病はあまり問題になることはなかったのだと考えられます。しかし、長期間にわたり航海を続けたり、作物を栽培する条件が厳しい地域に住んでいたヨーロッパの人々にとっては、大変な病気だったのです。

20世紀の初め頃、アメリカの歯科医であるプライス博士は、カナディアンロッキーの奥地に住んでいたインディアン(ネイティブアメリカン)に出遭いました。彼らは冬になると、ビタミンCの摂取源となるような植物は育たない土地に住み、ほとんど野生の狩猟に頼って生きていたのですが、壊血病にかかることはなかったのだそうです。不思議に思ったプライス博士が彼らにその理由を尋ねると、彼らは

「ヘラジカや熊の副腎を食べて、病気を防いでいる」

と教えてくれたのだそうです。彼らは、何世紀にもわたって、動物の特定の内臓を食べるということを学び、経験的にビタミンCを摂取する術を知っていたのですね!!