美容と健康と保つために欠かせない葉酸ですが、安易にサプリメントから葉酸を大量に摂ることによる弊害があることをご存じでしょうか?ビタミンB群の一種である葉酸について解説します。(葉酸の機能と不足しやすい人についてはこちら)
葉酸には活性型と非活性型がある
葉酸には、非活性型のものと活性型のものがあり、日本国内でサプリメントや食品に添加しても良いとされているのはいわゆる非活性型のいわゆる人工葉酸=「FolicAsid」と呼ばれるものだけとなっています。
非活性型の葉酸「FolicAsid」は、体内ではそのまま機能することはできず、体内で代謝のステップを踏んで初めて体内で利用できる形になります。
代謝の経路とそれぞれの特徴は以下の通りです。
★非活性型の葉酸=Folic Asid=・・人工的なサプリメントの葉酸。天然の野菜や果物などにはほとんど含まれない。非活性型なのでそのままでは体内で利用できない。
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★半分活性型の葉酸=色々な種類がある。Folinic Asid =「葉酸塩」など。・・野菜や果物に多く含まれる。DNA合成に関わることから二分脊椎の予防効果がある。
↓ ←この時にMTHFRという酵素が必要!
★活性型の葉酸=Methyl Folate =「5‐メチルテトラヒドロ葉酸」(5‐MTHF)メチレーションに関与。
このように、非活性型の葉酸は代謝の工程があって初めて生理活性の高い5‐MTHFとなるわけですが、この時に重要なのが「MTHFR」(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)という酵素です。この酵素活性の度合いは、「MTHFR遺伝子」によってきめられています。(その他にも、甲状腺機能低下やビタミンB2不足でMTHFRがうまく働かない場合もあります)
実は、日本人の約七割は、(CT型50%、TT型16%)にはこの遺伝子に変異があり、MTHFRの酵素活性が低下しており、摂取した葉酸をうまく利用できない体質であることがわかっています。特に、TT型の16%の人は葉酸の代謝効率が極端に悪く、最も脳梗塞などのリスクが高く、注意が必要であると言えます。
非活性型葉酸の問題点
非活性型葉酸(Folic asid)は天然の葉酸に比べ吸収されやすい形になっており、過剰摂取により未代謝のまま血中に存在し、健康への悪影響が懸念されます。
特に、上記のように遺伝的にMTHFRの活性が悪い人が葉酸サプリで非活性型葉酸をたくさん摂取した場合、活性型に変換されなかった葉酸が体内に溜まりやすいと考えられます。さらに、非活性葉酸は血液中で葉酸を運ぶ「輸送たんぱく」に結合して、なんと活性型葉酸が細胞に入るのを邪魔してしまうのです。葉酸代謝が苦手な人ほど通常よりもたくさん葉酸を摂りたいところなのに、非活性型葉酸を摂ると、せっかく体内にある活性型葉酸の働きも邪魔してしまうとは、同じ葉酸でも大きな違いですよね!
活性型葉酸の不足によって起こること
活性型葉酸はメチオニン(必須アミノ酸の一つ)を代謝させるためにも必要となるのですが、活性型葉酸が不足しているとメチオニンが代謝が滞り「ホモシステイン」が過剰になってしまいます。ホモシステインは動脈硬化や心臓病のリスクを高める物質でしたね。
さらに、メチオニンが不足すると肝機能低下、抗酸化力低下、アレルギーが出やすくなるなどの弊害が出やすくなることでも知られています。
また、活性型葉酸が不足しているとメチレーションがうまく回らなくなりますので、解毒がうまくいかなくなったり、ドーパミンやセロトニンなど脳内伝達物質代謝がうまくいかず、自閉症や発達障害となる確率もあがると考えられます。
(ただし、低メチレーションの人に葉酸サプリを投与すると悪化することも!詳しくはこちら)
MTHFR遺伝子の変異があった場合の対処法
MTHFR遺伝子に変異があると、葉酸が不足しやすくホモシステイン濃度が高くなりやすいので注意が必要だということはわかりましたが、自分のMTHFR遺伝子に変異があるかどうかが気になりますよね。
実は、とても簡単に調べる方法があります。
それは、ネットでも購入できる「葉酸代謝遺伝子検査キット」。口腔粘膜を綿棒で採取して郵送するだけでできます。
もしも遺伝子に変異があった場合は、葉酸が不足しないように食事に気を付ける、非活性型葉酸のサプリはなるべく避ける、もしもサプリで葉酸を摂る場合は活性型のものを摂る、といったことに気を付けると良いでしょう。もちろん、腸内環境も大事です。
また、MTHFR遺伝子に変異がなかったとしても、例えば安い葉酸サプリだと、1錠300㎎中、葉酸の含有量は0.2㎎(=200㎍)ぐらいのものがあります。この場合、1錠の総量に対して葉酸の入っている量は0.067%。残りは添加物である乳糖やセルロース、ショ糖脂肪酸エステルだったりするわけです。もちろん、サプリメントの保存や形状を維持するために必要な添加物を加えある程度の大きさにする必要があるのかもしれませんが、この例ではそれ以前に添加物の割合が多すぎると言えます。だったら食事から摂った方が良いのではないかと思われますよね。
まとめ