「アルツハイマー病 真実と終焉」から学ぶ、認知症を防ぐ食生活と生活習慣 

認知症対策

アルツハイマー病の原因とは?

デールプレデセン博士の著書「アルツハイマー病 真実と終焉」では、
認知症を予防・改善するための「リコード法」の詳細を紹介しています。

プレデセン博士は、認知症の中でも代表的な「アルツハイマー病」などは、急に激しい物忘れやうつ状態などが表れるのではなく、40代ぐらいの頃から、明確な自覚症状がないまま20年近く進行し、60歳頃に症状が現れるころには、実は脳の中ではかなり進行した状態になっていると述べています。(一般には、この段階はアルツハイマー病の「早期」と呼びます。)

アルツハイマー病の根本的な原因は、炎症・栄養不足・毒素です。

炎症や栄養不足や毒素は、脳に対する脅威。
そこで、それら対する防御反応として、脳の中にアミロイドβと呼ばれる物質が集積され、
結果的に、脳神経が破壊されてしまいます。

これらの脅威から脳を守るのためには、
食生活や十分な睡眠、運動、ストレス対策、体内の炎症を取り除くことなどが不可欠です。

⇒「アルツハイマー病(認知症)における血液検査データの傾向について」

認知症を予防&改善するための食生活

アルツハイマー病を予防・改善するために心がけたい食習慣は次の通りです。

・血糖値を安定させる
高インスリンと高血糖は、アルツハイマー病の最も重要な危険因子です。
慢性的な高インスリン状態と高血糖状態は、脳の血管と脳神経を傷つけ、脳の機能を低下させます。

血糖値については、こちらも参考にしてみてください。

・解毒作用のある野菜を積極的に摂る
カリフラワー、ブロッコリー、キャベツ、大根、カブ、クレソン、わさび、アボカド、にんにく、しょうが、たまねぎ、ねぎ、レモンなど

・抗酸化物質を積極的に摂る
抗酸化物質は、細胞膜の保護のために重要な役割を果たします。中でもビタミンEは、臨床試験において認知機能の低下を遅らせるのに役立つことが示されているとしています。

抗酸化物質については、こちらも参考にしてみてください。

・良質の脂肪を積極的に食事に取り入れる
アボカド、ナッツ、オリーブオイル、ココナッツオイル※、MCTオイルなど

(※日常的に摂るならココナッツオイルよりもMCTオイルがおすすめです。)

・マグネシウムを摂る
認知症とマグネシウムについてはこちら

・腸に良い食材やサプリを積極的に摂る
・味噌汁、無添加の漬物、野菜類、キムチ、ボーンブロス(骨のだし)、
乳酸菌やビフィズス菌のサプリ(プロバイオティクス)、オリゴ糖、Lグルタミンサプリなど。
(甘いヨーグルトは糖分を含む上に健康上マイナス面の多い乳製品のため、あくまでも嗜好品としてたまに摂るぐらいにしておくと良いでしょう)

・認知症を予防するために極力避けたいもの
トランス脂肪、単純糖質(糖類、米、パン、麺、お菓子など)、グルテン、乳製品、加工食品、GMO食品、抗生物質、抗炎症剤(アスピリン、イブプロフェンなど)、ステロイド、プロトポンプ阻害剤(胃酸分泌を抑える胃薬

・軽いケトーシス状態を作る
体内の炭水化物が足りなくなると、肝臓が脂肪を分解し、「ケトン体」を産生します。
(この状態を「ケトーシス」といいます)

軽いケトーシス状態を作ることは、認知機能にとって最適であることがわかっています。
ケトーシスを促進するためには、
① 低炭水化物食(糖類、米、パン、麺、お菓子などの単純炭水化物の摂取を減らす)
② 適度な運動(一週間に150分以上)
③ 少なくとも12時間の絶食※
④ ①~③と併せて、MCTオイルやココナッツオイル、オリーブオイル(不飽和脂肪酸)を摂るようにする。

※プレデセン博士は、食事の時間は、前の日の夜の食事から12時間は空け、夜ご飯は就寝3時間前までに済ませることを薦めています。これにより、就寝前にインスリン値が急上昇するのを防ぐことができるだけでなく、絶食によってダメージを受けたたんぱく質やミトコンドリアのオートファジー(つまりいらなくなった細胞を一掃するということ)を促すことにもつながるといいます。
また、就寝直前のインスリンの急上昇は、インスリン抵抗性の原因となるだけでなく、睡眠や免疫機能に役立つメラトニンや成長ホルモンも抑制してしまい、身体の修復が充分にできなくなってしまいます。

個人的には、毎日12時間空けるのはちょっと難しいかな~、と思いますが、
寝る直前の食事は極力避けるように心がけたいと思います。

認知症を予防&改善するための運動習慣

定期的に運動をすることは、認知症を予防、改善するためにも欠かせません。
運動による認知症対策に関連する効果は、以下のようにたくさん挙げることができます。

・インスリン抵抗性を改善させる
・脳のニューロンの機能をアップさせる
・海馬の萎縮を食い止める
・脳のニューロンやシナプスの健康に不可欠な血管機能を改善する
・ストレスを軽減し、気分を改善する
・睡眠の質を改善する    etc.

この本では、45~60分の運動を週に4~5回行うことを薦めています。

「いきなり週5はきつい!」という人も、
脳機能だけでなく身体機能を維持していくためにもぜひ、
有酸素運動+ウエイトトレーニングを行う習慣を続けていきましょう!

また、身体を動かす運動だけでなく、脳トレを行うことで脳の神経細胞を刺激しすれば、
脳の処理速度や記憶力の改善に役立つと言われています。

認知症を予防&改善するための睡眠習慣

年齢を重ねるにつれてメラトニン産生能力は落ちてくるため睡眠不足に陥りやすく、睡眠不足は認知機能の低下を招きます。

プレデセン博士は「眠れない場合は0.3~0.5mgのメラトニンを服用すると快眠が得られる。この量で足りない場合は20mgまでは服用しても良いが、多すぎると夜中に目が覚めて眠れなくなることがあるので注意。また、メラトニンは毎日とらず、一週間に1回は摂らない日を作るようにすると良い。精神的ストレスが強い場合は、睡眠前にトリプトファン500mg、または5HTPを100~200mg摂るのも良い。」としています。

質の良い睡眠のための環境を整えるには・・
・できるだけ部屋を暗くする(メラトニンの産生に影響)
・夕食は軽めに済ます
・適度な水分補給を行う
・電子機器の電源を切り、テレビなどの電子機器が発する電磁波から離れる。(寝室にテレビは置かない)
・寝る前に読書灯を使ったりパソコンを使う場合は、ブルーライトを避けるフィルターを用いる。
・寝る前にくつろぐ。運動は日中の早いうちに行い、寝る前のアドレナリン上昇を防ぐ。
・午後のカフェイン摂取を避ける。
・夜12時前には寝るようにする

尚、以前のブログでも書いたように、睡眠の質は腸内環境によっても大きく左右されますので、腸の状態が気になる方は要注意です。

ストレスの影響について

慢性的なストレスは、ストレスホルモンであるコルチゾールの値を上昇させます。

過剰なコルチゾールは、記憶をつかさどる海馬にダメージを与えることが分かっています。
実際、アルツハイマー患者の認知機能低下の始まりは、大きなストレスがかかった時期と重なることも多いといわれています。

でも、「ストレスを減らそう!」と思うと、逆にストレスが気になってしまったりしませんか?!

それよりも、笑う、好きな音楽を聴く、マッサージを受ける、くつろいで散歩する、好きなアートに触れる、、など、自分にとって心地よいことをしたり、何よりも大事なことは、自分が人生の中で本当にやりたいことを見つけて取り組んでいくことだと思います。

そして、ストレスに対する捉え方も心身の健康に大きく影響します。
詳しくは「ストレスは役に立つ」と思うと、実際にそうなる?!ストレスを力に変える方法について。参考にしてください。

炎症を改善する

炎症は、認知機能低下を進行させてしまう重要な要素のうちの一つです。
炎症対策として、以下の項目を心がけます。

・炎症を誘発する食事(砂糖やトランス脂肪)を避ける
腸の炎症を治す
・慢性感染症の治療
・口腔内の衛生を保つ
・炎症を治癒させるサプリとして、「SPMアクティブ」を一日に2~6カプセルを一か月間服用する
・イブプロフェンなどの抗炎症薬は、腸や肝臓にダメージを与える可能性があるのでなるべく使用しない
・オメガ3やクルクミン、緑黄色野菜、生姜、シナモン、プレグネノロン、クローブ、タイムなどの抗炎症物質を摂る。
・ビタミンDを摂る

慢性炎症を起こしやすい食生活についてはこちらも参考にしてください。

尚、明らかに可能性のある炎症要因を取り除いても血液検査の炎症マーカー(CRPなど)が高いままである場合は、リウマチ性関節炎や慢性ライム病、ダニ媒介性感染症など、別のところに炎症の原因があると考えられるので、さらに詳細な検査が必要な場合もあります。

ホルモンバランスを整える

認知機能の低下を予防、改善するためには、ホルモンバランスも重要となります。

なぜなら、、

・認知機能が低下した患者の多くに甲状腺機能低下が見られる。
・女性の場合→女性ホルモン(エストラジオールとプロゲステロン)も認知機能を維持するために重要
・男性ホルモン(テストステロン)も脳のシナプス機能にとって重要である。
・ストレスによって副腎からコルチゾールが多く分泌されすぎると、海馬のニューロンがダメージを受ける。また、コルチゾールを過剰に産生することで、脳機能維持のためにも重要な性ホルモンの産生能力が低下してしまう。

本の中では、これらを踏まえて、ホルモン値を測定して専門医と相談しながら、数値の最適化を図っていくことを薦めています。

毒素を排除する

体内の毒素が認知機能低下の一因となっている場合もあります。以下の項目は、高濃度の毒性物質にさらされるリスクを高めるので要注意です。

・マグロ、メカジキなど、水銀含有量が多い大型魚を食べる頻度が高い
・全身麻酔を何度も受けたことがある
・家や車、職場にカビが存在する
・加工食品や有機食品でない食品をよく食べる
・ダニにかまれたことがある。
・薬を飲んでいる
・プロトポンプ阻害剤を飲んでいる
・アルコールの過剰摂取
・化粧品、ヘアスプレー、制汗剤
・便秘
・汗をかかない
・水分摂取が少ない(便や汗や尿は、毒素の重要な排泄ルートとなる)
・歯の詰め物にアマルガム(水銀)が入っている。(または以前に入っていて、適切な方法で除去しなかった)

解毒についてはこちらも参考にしてください⇒解毒の仕組みについて

認知症予防のための生活習慣をいつから始めるべきか?

これまで挙げた食生活・運動習慣・睡眠・ストレス対策・炎症対策・ホルモンバランス・毒素対策などは全て、認知症に限らず、健康を保つためにも非常に役立つものばかりで、栄養療法において欠かせない項目ばかりであるということにお気づきの方も多いかと思います。

「リコード法」の考え方の中でも特に重要なのが、万人に効くアプローチはなく、人によって脳神経を破壊してしまっている原因は異なるというものです。

従って、すでに症状が出ていて、病気を改善したい場合は、リコード法の推奨する検査項目を検査し、個人に合ったプロトコルを実施していく必要があると考えられます。

しかし、まだ認知症のような症状は出ていないけれど、40歳を過ぎて、これからますます元気に、脳も身体も健康を保っていきたいという方にとっては、これらの食生活や生活習慣を今から心がけるだけでも、20年後、30年後の脳と体の健康に大いに役立つと言えるでしょう。

推奨サプリ

参考までに、「リコード法」で推奨しているサプリメントの種類と目安量を、以下にまとめました。(全部摂るとなるとかなり大変そうですね、、)

ビタミンB1 50mg(記憶形成に重要)
パントテン酸 100~200mg(集中力や注意力に問題があるとき)
B6、B12、葉酸の併用(ホモシステインが6を超える場合)
VC1g(銅亜鉛比が1.2以上のとき、またはVC値が足りないとき)
VD (血清VDが50~80になるまで、一日2500IUから始める)
VE(VE値が13未満の場合、トコフェロールとトコトリエノールの合剤として400~800IU)
ビタミンk2(ビタミンDを服用中の場合、Mk-7 100mcg)
レスベラトロール100mg(全員)
ニコチンアミドリボシド100mg
シチコリン250mg 一日2回(シナプスの成長と維持に役立つ)
アセチルーL-カルニチン500mg
ユビキノール100mg(全員。ミトコンドリア機能をサポート)
ピロロキノリンキノン 10~20mg
オメガ3脂肪酸
ピコリン酸亜鉛20~50mg (インスリン感受性は亜鉛の数値に影響される。二か月後に血糖を再検査)
マグネシウムグリシネイト500mgまたはトレオン酸マグネシウム2g(ヘモグロビンA1cが高い場合)
αリポ酸60~100mg(抗酸化物質として)
ピコリン酸クロム(血糖値を下げる) 400μg~1mg
ベルベリン(血糖値を下げる)300~500mg

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