「ストレスは役に立つ」と思うと、実際にそうなる?!ストレスを力に変える方法について。

ストレスは「敵」ではなく、「味方」になる?!

 

みなさんは、「ストレス」に対して、どのようなイメージを持っていますか?

ストレスは健康に害を与え、病気の元になるから、なるべく避けた方が良い、というのが一般的な考え方だと思います。

「ストレスを力に変える教科書」の著者で健康心理学者であるケリー・マクゴニガルも、心理学や医学の様々な見地において、ストレスは身体にとって有害であることは明白で疑いようのない事実であると考えていました。ストレスによって引き起こされる身体の不調は、単なる風邪だけでなく、心臓病・うつ病・依存症など、様々な病気のリスクを高めたり、脳細胞を殺してしまう、DNAにダメージを与える、老化を促進する、などといった悪影響があるとして、いかにストレスを緩和するか、についての論文や本の執筆、メディアの取材に対してもアドバイスをしてきました。ところが著者は、ストレスについての考えを大きく改めるきっかけとなる驚くべき研究結果を偶然知ることになります。

その研究結果とは、「ストレスが健康に悪い」と考えていた人は、「ストレスは健康に悪い」と考えていなかった人よりも死亡リスクが高いというものでした。強度のストレスを受けていた参加者の中でも、「ストレスは健康に悪い」と考えていなかった人たちは、死亡リスクの上昇がみられなかったばかりか、ストレスがほどんどない人たちよりも死亡リスクが低かったのだというのですから驚きです。

この研究の研究者たちの結論は、「人はストレスだけでは死なないが、ストレスが健康に悪いと考えていると、死亡のリスクが高まる」というものでした。

この研究結果を知った著者は動揺します。なぜなら、彼女はずっと人々のためになると信じて、「ストレスは健康に悪い」ということを力説してきたのです。いっそのこと、こんな研究結果は見なかったことにしてしまおうかとも思ったとも述べています。

しかし彼女は、このことをこれまでの自分の考えを見直す良い機会と考え、過去30年間の化学的研究や調査の内容を詳しく調べ、先入観を持たずにデータを見ていくことにしました。すると、ストレスは一般的に言われている通り有害であるという証拠も見つかったけれど、一般にはほとんど認識されていないような良い面もあるという証拠も見つかったのです。

ストレスの良い面とは、ストレスの経験から人は人は学び、成長し、強くなることができるということなのだそうです。さらに、ストレスに対する考え方を変えることで、私たちはもっと健康で幸せになれるといいます。

これは、これまでの私たちの考えてきた常識を覆す大きなパラダイムシフトであると言えるのではないでしょうか。

 

「考え方」でストレスホルモンの分泌が変わる?!

 

では、ストレスに対する考え方を変えることで、人の身体にはどのような変化が見られるのでしょうか。

ここで、この本に書かれていた実験を一つ紹介したいと思います。

実験では、まずは被検者を2グループに分け、ストレスに関する2種類のビデオをそれぞれに3分間程度見せます。そのあと、被検者にわざと強いストレスを感じさせるような模擬面接を行い、その時の唾液中のストレスホルモン(コルチゾールとDHEA)の量を調べます。

ビデオの内容は、

①グループ・・研究によって、ストレスには実は良い効果があるということがわかってきた。ストレスがいかにパフォーマンの向上に役立ち、健康を増進し、成長を促すものであるかということを説明することで、ストレスをポジティブにとらえたくなるような内容。

②グループ・・ストレスが健康に悪いことは多くの人が知っている。だが、研究によって、ストレスは私たちが思っている以上に心身を消耗させるということが明らかになってきた。ストレスがいかに健康に悪く、幸福感を失わせ、パフォーマンスを低下させるか、ということを説明し、ストレスに対するネガティブなイメージをさらに植え付けるような内容。

ちなみにどちらのビデオの内容も、実際の研究事例を引用していて、ある意味どちらも真実であると言えます。しかし、どちらのビデオを見るかによって、被検者のストレスに対する認識が変わります。その時、ストレス時の人の身体の反応に違いが現れるのかどうかを調べるのがこの実験の目的です。

 

コルチゾールとDHEAについて

 

コルチゾールとDHEAは、両方ともストレス時に副腎から分泌されるホルモンです。

コルチゾールは、糖代謝や脂質代謝を助け、ストレス時に身体がエネルギーを使いやすい状態になるよう働きます。また、消化・生殖・成長など、ストレス時には重要ではない身体の機能を抑制するように働きます。

一方DHEAは、コルチゾールの作用を抑制したり、傷の治癒を早める、免疫機能を高めるなどの効果があります。また、ストレスの経験を通じて脳が成長するのを助けるという働きもあります。

この二つのホルモンは、どちらも身体にとって必要なホルモンなのですが、特に慢性的なストレスがある場合、この二つのうちどちらのホルモンが多いかによって体に大きな影響が出てくることがわかっており、コルチゾールが多すぎると、免疫機能の低下やうつ病などの症状が現れやすい一方、DHEAが高いと、ストレスに関連する病気のリスクが低下する傾向がみられます。

また、コルチゾールに対するDHEAの割合が高い方が、集中力が高まり、問題解決能力に優れ、ストレスに負けずに頑張ることができるという傾向もみられると言われています。

 

考えが変わることで身体にどのような変化が見られたのか

 

さて、さきほどのストレスに関するビデオを見せた実験ではどのような結果が得られたのでしょうか。

 

結果から言うと、ずばり、コルチゾールとDHEAの割合に変化が見られたのだそうです。

 

ビデオを観ただけではコルチゾール値に変化はなかったのですが、意図的にストレスを与える模擬面接では、予想通り、被検者のコルチゾールの値が上昇します。しかし、①のグループ(面接前に「ストレスには良い効果がある」というびでおを見せられた人たち)は、②のグループ(面接前に「ストレスは心身を消耗させる」)というビデオを見せられた人たち)に比べ、DHEAの分泌量が多くなったという結果になりました。「ストレスには良い効果がある」と考えたことが、たんなる主観的な感じ方だけでなく、副腎から分泌されるストレスホルモンという生理的な部分にも影響を与えたのですね。

つまり、「ストレスは役に立つ」と思うと、実際にそうなるということです。

 

ストレスとうまく向き合い、うまく利用しよう!

 

人はストレスを「避けなければ」と思えば思うほど、それが不可能であることによって余計に苦しくなり、自己破壊的な行動を招きかねないといいます。それよりも、ストレスをうまく利用して向き合っていこうとする方が、無理してストレスを避けようとするよりもずっと賢明な方法であると考えられます。

本の中では、ストレスが最も害になるのは、自分はストレスに対して無力だと感じている場合や、自分が直面している問題に対処できる自信がなく、つらい思いをしてがんばることに意味を見出せずにいる状態にある時だとしています。

また、自分にとって大事な価値観を忘れずに生きることや、目的意識をもって生きることこそが何よりも大切であるということも述べられています。

 

これまで私は「ストレスは害になる」という認識が当たり前だと思っていました。実際にストレスが体に害を与えるケースももちろんあると思います。

しかし、これまでの考え方をガラッと変えて、ストレスを受け入れてうまく付き合っていくという姿勢でいれば、逆にストレスを力に変えるために役立てることができるという考え方は、とてもすばらしいものだと思いますし、大きな気づきをもらった気がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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