炎症を測る「高感度CRP」とは?

身体の慢性炎症を知る指標となる「高感度CRP定量」について説明します。

CRPとは

CRPとは、「C反応性たんぱく」と呼ばれるたんぱく質のことで、体のどこかに急性炎症が起こると、このたんぱく質が24時間以内に急増し、通常の濃度の1000倍もの濃度になることもあります。発熱を伴うような感染症や、風邪をひいていたりしても高くなります。

慢性炎症と「高感度CRP」

そして、動脈硬化やがん、うつ、認知症などの発症には、このような急性の強い炎症ではなく、小さな慢性炎症が関わっているということがわかってきました。慢性炎症があると、その細胞で活性酸素が慢性的に発生して、細胞を酸化させてしまいます。慢性炎症を起こすのは、高血圧、脂質異常、糖尿病、喫煙、肥満などです。「高感度CRP」では、このような小さな炎症を測ることができます。つまり、CRPが高値である場合、身体のどこかで微小な組織障害が起こっている状態であるということが予測されます。

高感度CRPの値は、0.05以下が望ましいとされています。

(ただし、CRP定量は、腸の炎症・脂肪肝・上咽頭炎などの慢性炎症があっても上昇はみられないと言われています)

慢性炎症と病気の関係

動脈硬化の指標は、コレステロールの値だけでなく、炎症のマーカーであるCRPの値も深く関係しており、CRPの値が高いほど将来的に心筋梗塞になる確率が高いということがわかっています。それ以外のメタボリックシンドロームも、炎症が深く関係しています。

また、例えば胃がんを引き起こすことで有名なピロリ菌ですが、実はピロリ菌自体の発がん性は低いけれど、菌が起こしている慢性の炎症ががんをひきおこしていると考えられています。同じように、C型肝炎による肝ガンの場合、C型肝炎ウイルス自体の発がん性は低いのにウイルスによって起こっている炎症が肝がんに関係していると言われています。最近は、うつ病などといった脳のトラブルも炎症が関係しているということがわかってきました。

また、口腔内のトラブルも、体内の炎症に関わりがあるということもわかっています。歯科医師である森永広喜先生の著書「全ての病気は口の中から」によると、広島大学などが行った共同研究の結果、重度の歯周病のある糖尿病患者に、抗菌剤を使ったし歯周病治療を行ったところ、糖尿病の目安となるヘモグロビンA1cが改善すると同時に、高感度CRP値が下がったとしています。また、森永先生自身の臨床経験からも、歯周病治療を行うことでCRPが改善するというデータが得られているのだそうです。つまり、歯周病治療によって、全身的な炎症が減るということが考えられるとしています。

 

「プロスタグランジン」と炎症

体内の炎症に対するアプローチには色々な方法がありますが、ここでは「プロスタグランジン」と炎症について考えていきたいと思います。

「プロスタグランジン」とは、体内で炎症反応をコントロールする物質です。細胞膜で脂肪酸をもとに作られ、その細胞やその付近で強力なホルモンのような働きをします。

プロスタグランジンの材料となるのは、アラキドン酸やEPAなどの脂肪酸です。アラキドン酸とEPAは、その分子構造の違いにより「オメガ6系」と「オメガ3系」に分けることができます。

オメガ6系脂肪酸から作られるプロスタグランジンと、オメガ3系の脂肪酸から作られるプロスタグランジンでは働きが異なり、互いに逆の作用を持ちます。オメガ6系由来のプロスタグランジンには、血管収縮、血小板の凝集、血圧を上げる、炎症促進などの作用があります。一方、オメガ3系由来のプロスタグランジンは、血管の弛緩、血小板の凝集を抑制、血液をさらさらにする、血圧を下げる、不整脈や凝血を防ぎ血流を良くして、心疾患などを予防する、炎症の鎮静化などといった働きを持ちます。
どちらのプロスタグランジンも生きていくために必要なものなのですが、オメガ3と6の間では、変換ができないため、両方の機能がしっかり働くためには、オメガ3と6をバランスよく摂る必要があります。(オメガ6とオメガ3の摂取量の比率は、1:1~4程度が良いと言われています)もしもどちらかだけに偏った食生活を続けると、体内のプロスタグランジンのバランスが崩れ、例えばオメガ6が過剰になれば、体内で慢性的に炎症や痛みがおこったり、血圧が高くなる、血液凝固しやすい、内臓の働きが弱る、アレルギー反応が起きやすい、など、様々な不調が現れやすくなります。

 

オメガ6系と3系脂肪酸を含む食品について

オメガ3の脂肪酸に分類されるのは、EPAの他にもフラックスオイルなどに多く含まれるαリノレン酸や、魚油などに多く含まれるDHAがあります。オメガ6の脂肪酸とは、植物油(コーン油や大豆油など一般的な植物油など)に多く含まれるリノール酸と、動物性脂肪などに多く含まれるアラキドン酸です。リノール酸は、揚げ物等の加工食品にも多く含まれます。アラキドン酸は、体内でもリノール酸から合成されます。

現代の食生活では高リノール酸植物油・肉・加工食品などといったオメガ6脂肪酸含有量の多い食品の摂取量が多く、オメガ3脂肪酸の摂取量が少ないため、オメガ6の過剰摂取とオメガ3の摂取不足が問題となりやすいので注意が必要です。(オメガ3系脂肪酸はとても酸化しやすいため、αリノレン酸を豊富に含む植物油を摂取する場合は、保存方法を気をつけたり、加熱せずに摂ることが望ましいです。)

尚、オメガ3系脂肪酸を人体が利用するには、体内でαリノレン酸をEPAやDHAに変換する必要があります。αリノレン酸のEPAやDHAへの変換率はごくわずかであるとも言われています。αリノレン酸がEPAに変換するためには、酵素が必要なのですが、それと同じ酵素がリノール酸の代謝にも使われるため、リノール酸を過剰に摂取していると、せっかくの酵素がリノール酸の代謝のために使われてしまうということになります。つまり、脂肪酸バランスを整えるには、脂肪の全体量の過剰摂取を避けた上で、αリノレン酸やEPA・DHAを意識的に摂ることを心がけるとよいでしょう。