アルツハイマー病における血液検査データの傾向について

話題の「アルツハイマー病真実と終焉」の著者、デールプレデセン博士が低唱する「リコード法」では、血液検査などを用いて自身の状況を把握し、「認知機能を改善するには何に対処しなければならないのかを知る」ということをとても重要視しています。

現在症状が出ている人はもちろん、症状は出ていない場合でも、45歳以上の人は特に注意するべきであると考えられる血液検査の項目は、以下の通りです。

①炎症などに関する値に問題がある

CRPが高い(糖分やトランス脂肪の摂りすぎ、LGS、グルテン感受性、口腔内の不衛生なども疑われる)
A/G比が低い(1.8以上が理想)
・インターロイキン(IL-6)が高い (63pg/ml未満が理想)
・腫瘍壊死因子(TNF)が高い (6.0pg/ml未満が理想)
・マイコトキシンなどの有毒化学物質(水銀やカビが産生する)の血中値が高い

②糖代謝異常・マグネシウム不足

血糖値・ヘモグロビンA1cが高い

・高インスリン、またはインスリン値が低すぎる(糖代謝異常)

慢性的な高血糖は、慢性的な高インスリンを引き起こします。インスリンの分解酵素は認知症の原因となるアミロイドβの分解をする役割も持つため、インスリンが過剰だとアミロイドが分解されず、アルツハイマー病の原因となります。また、慢性的な高血糖状態は体内の炎症を引き起こし、脳の血管を傷つけてしまいます。

プレデセン博士によると、血糖値が高い場合はピコリン酸亜鉛20~50mgを摂り、二か月後に再度血糖値をしらべることを推奨しています。 なぜなら、インスリン感受性は亜鉛の数値に影響されるからです。

また、マグネシウムも血糖コントロールや脳機能の維持のために非常に重要な役割を担うミネラルの一つです。ヘモグロビンA1cが高い場合にマグネシウムグリシネイト500mgまたはトレオン酸マグネシウム2gを摂ることも勧めています。

シナモンも血糖管理の改善に非常に効果的であると言われています。摂取する目安量は、一日小さじ1/4、または1g入りのカプセルを摂ると良いとしています。

③亜鉛不足

認知症の人のほとんどは、銅が過剰で亜鉛が少なすぎる状態になっているようです。亜鉛不足は亜鉛の少ない食事だけでなく、胃酸不足による亜鉛の吸収不足や、胃酸を抑える制酸剤の使用も大きく影響します。亜鉛は認知機能やインスリン代謝においても非常に重要であるだけでなく、亜鉛が不足するとマイコトキシンなどの毒物に敏感になるという報告もあり、認知症のリスクを一層高めることにつながります。
亜鉛と銅はバランスが非常に重要で、亜鉛と銅の血中濃度は90~110mcg/dl、比率は1:1が望ましく、この比が1.4以上になると認知症のリスクが高まるとしています。また、遊離銅は30以下が良いとも述べられています。

(遊離銅は、銅とセルロプラスミンの値がわかれば、銅の値-セルロプラスミン×3で計算できます)

④ホルモン異常

・エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンなどのホルモン値が低い
甲状腺機能低下(TSH高値、リバーズT3高値、遊離T3高値などのホルモン異常)、コルチゾール値異常

甲状腺機能は、代謝機能や認知機能に大きく関係します。アルツハイマー病では、一般的に甲状腺機能が低下しています。甲状腺機能が低下すると、体温も低くるので、体温は通常36.6~36.8ぐらいが理想ですが、それ以下の場合、甲状腺機能が低下している可能性が高いと考えられるとしています。

⑤ビタミンB1不足

ビタミンB1は神経機能を正常に保ち、記憶を形成するためにも必須です。B1に限らずビタミンB群が不足しがちな人は要注意ですね。
血清チアミン20~30nmol/L またはチアミンピロリン酸TPP100~150ng/mlが望ましい。)

⑥ビタミンB6、B12、葉酸が不足していて、ホモシステイン値が高い

ホモシステインはアルツハイマー病の重大要因となります。ホモシステインはメチオニンを含むたんぱく質食品の摂取に由来し、ホモシステインが正常に体内で代謝されるためには、VB12、B6、アミノ酸ベタインが必要となります。

栄養不足によって血中ホモシステインが正常に代謝されなくなり、ホモシステイン値が上昇すると、血管と脳にダメージを与えてしまいます。尚、ホモシステイン値を低く保つには、VB6、B12、葉酸が必要です。

プレデセン博士によると、ホモシステイン値が6μ㏖/ℓ以上になると海馬の萎縮リスクが高くなり、ホモシステイン値が高いほど認知症リスクは増大するとしています。

ホモシステイン値が6以上の場合は、活性型B6(P5P20~50mg)、活性型B12(メチルコバラミンとアデノシルコバラミン合計で1mg)、活性型葉酸(メチルテトラヒドロ葉酸=メチル葉酸0.8mg)を服用し、3か月経過したらホモシステイン値が6以下になったかどうか確認するという方法が推奨されています。

(血中ビタミンB12は500pg/ml以上~1500が望ましく、200~350ぐらいでは貧血や認知症などの疾患が起こることがある)
(葉酸は10~25ng/mlぐらいが望ましい)
(B6は30~50mcg/ℓが望ましい)

血中ビタミンBや血中B6のデータがない場合は、一般的な健康診断でもよくお目にかかることのできるMCVAST・ALTの値からも予測できますので、気になる方はチェックしてみてください。

⑦ビタミンE不足

ビタミンEは、細胞膜を保護し、アルツハイマー病を防ぐ重要な抗酸化物質です。
(αトコフェロール12~20mcg/mlであることが望ましい。)

αトコフェロールのデータがない場合は、溶血の状態などからもビタミンEの過不足を予測することもできます。

⑧ビタミンD不足

ビタミンDは脳のシナプスの維持と生成に不可欠なので、ビタミンDの活性減少は、認知機能低下に大きく関連します。ちなみに、ビタミンD不足は免疫機能にも大きく影響します。

体内のビタミンDの効果は血中濃度で決まります。

通常の保険がきくビタミンDの検査は、「1.25OH D 」と呼ばれる項目です。1.25OHDは、腎臓で代謝された後のビタミンを測っており、極端にビタミンDが欠乏しない限り減少しないため、栄養療法においてはあまり良い指標とならないと言われています。

一方、「25OHD」(血清25ヒドロキシカルシフェロール)は、保険がきかないので料金もかかるのですが、こちらは体内で利用可能なビタミンDの量をきちんと反映しており、体内でビタミンDがしっかり足りているかを知るための良い指標になると言われています。25OHDは、一般的には20~30ngぐらいあれば健康であると言われていますが、認知機能や免疫機能の維持のためには50~80ng/mlぐらいあることが望ましいようです。尚、25OHDが20ぐらいの場合、インスリン抵抗性も持ちやすくなることもわかっています。

プレデセン博士によると、サプリメント摂取の至適用量は、(目標値-今のng)×100=IU単位での用量と考えると良いとしています。
例えば、25OHDの値が20ngだった場合、(目標の50ng-現在の20ng)×100=3000IU/日 となります。また、血液検査で低かった場合は3か月程度ビタミンDを摂り、再度採血して調べると良い。

⑨脂質代謝・脂肪酸バランスに問題がある

コレステロール値が低い

コレステロールの低値は認知機能低下に関わります。コレステロール値が150未満になると、脳萎縮が起こる可能性が高まるので要注意です。

・コレステロール値に比べ中性脂肪値が不釣り合いに低い

・赤血球中オメガ6脂肪酸/オメガ3比 が高い。 (0.5以上3未満が理想)