体内の慢性炎症を作りやすい食生活とは?

炎症とは?

身体の組織が損傷した時、それを治そうとして生体内の反応が起こります。この時に引き起こされるのが炎症反応です。炎症は、本来は生体の防御反応として必要な反応なのですが、過剰な炎症時反応は生体の自己組織の損傷や、痛みの憎悪を引き起こしてしまいます。

炎症は、怪我、感染、激しい熱や刺激性の化学物質にさらされるなどといった要因によって引き起こされます。このような急性的な炎症は「急性炎症」と呼ばれます。

一方、慢性的な感染や、自己免疫疾患、あるいはストレス状態が続いていたり、身体に合わない食生活を続けていたりする場合には「慢性炎症」が起こり、免疫機能が絶え間なく働いて、徐々に組織の障害が進行し、健康を害することになります。

 

急性炎症のしくみ

細胞が損傷を受けたとき、細胞からは炎症性の化学物質(ヒスタミンなど)が放出されます。すると白血球が損傷個所に移動し、組織に侵入した細菌や細胞の残骸の貪食を始めます。
急性炎症の徴候は、発熱・赤み・痛み・腫脹(腫れ)・機能低下などが典型的な症状です。発熱や赤みは、血管拡張と血流の増加によって起こります。そして腫脹は、たんぱく質とリンパ液が、間質スペース(血管やリンパ管外のスペース)に移動することによって起こります。また、この時に生じる痛みは、炎症の過程で生じる様々な化学物質(ヒスタミン、プロスタグランジン、ブラジキニンなど)が関係していることがわかっています。急性炎症によって起こった発熱・赤み・痛み・腫脹・機能低下の徴候は、徐々に和らぎ始め、損傷が鎮静化するとともに、新しい組織が形成されていきます。

 

慢性炎症はなぜ体に悪い?

慢性炎症とは、免疫系が絶え間なく活性し慢性的に炎症が起こっている状態です。これによって、徐々に組織破壊が進行していき、さまざまな異常が引き起こされます。例えば、アレルギー・自己免疫疾患・アルツハイマー病・慢性感染症・心臓血管疾患などといった疾患にも大きく関係していると言われています。歯周病や上咽頭炎も慢性炎症の一つ。他にも、糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、血管の壁を傷めつけて炎症を起こしますし、腸内環境が悪ければ腸に炎症が起こります。脂肪肝は肝臓に慢性的な炎症が生じている状態です。慢性炎症を防ぐためには、ストレスを軽減することや、食生活に留意することが非常に重要となります。

(血液検査の「高感度CRP」から炎症の有無を調べる方法はこちら

炎症と脂肪酸

私たちが食事から摂取する脂肪(脂肪酸)には色々な種類がありますが、摂取する脂肪酸の種類は体内の炎症反応と大きな関わりを持っています。

脂肪酸からは、「エイコサノイド」の一種である「プロスタグランジン」と呼ばれる生理活性物質が作られます。プロスタグランジンは、細胞間のコミュニケーションに関与し、血圧や血液の流れやすさ、免疫機能、炎症反応など、体内の様々な機能をコントロール働きを持っています。プロスタグランジンは、材料となる脂肪酸の種類によって働きが異なります。

 

炎症促進に働く脂肪酸と、炎症抑制に働く脂肪酸

脂肪酸の中で、二重結合と呼ばれる不安定な構造を持つ脂肪酸は「不飽和脂肪酸」と呼ばれます。不飽和脂肪酸は、脂肪酸の鎖の端(メチル端末‐CH3)から数えていくつめの炭素に最初の二重結合があるかによって、オメガ3・オメガ6・オメガ9系という分類ができます。そのうちオメガ3とオメガ6系脂肪酸は、食事から供給する必要のある必須脂肪酸です。なぜなら、ヒトの細胞は、脂肪酸のメチル端末から6番目以下の位置に二重結合をつくる酵素を持っていないので、オメガ6やオメガ3系を体内で自ら作ることができません。

そのうちオメガ6系脂肪酸からは、体内の炎症を促進する「プロスタグランジン2」が作られ、オメガ3系脂肪酸からは、炎症を抑制する「プロスタグランジン3」が作られます。オメガ6と3系脂肪酸は、体内で作ることができないだけでなく、オメガ6系と3系で互いに変換することもできないため、これらをバランスよく摂取することが必要となります。

 

脂肪酸の種類に限らず、糖質の多い食事やトランス脂肪酸、ビタミンやミネラルの欠乏した食生活は慢性炎症を引き起こしやすくなってしまうため注意が必要です。

慢性炎症を起こしやすい食生活

炎症を誘発するプロスタグランジンが作られやすい食生活は以下の通りです。

・肉類に偏った食生活、オメガ6系脂肪酸に偏った食生活(体内の炎症を測る「CRP定量」と、オメガ6系と3系脂肪酸を含む食品についてはこちら

・砂糖の摂りすぎ、単糖類の多い食事における高インスリン状態

・トランス脂肪(人工的に水素化した脂肪酸)

・亜鉛・ビタミンC・ビタミンB群などの栄養素の欠乏

腸の炎症にも注意

 

体内の慢性炎症の症状を緩和するための食事

一方、体内の炎症を鎮めるためには、オメガ3系脂肪酸を多く含む食品を積極的に摂り、炎症を促進する砂糖やトランス脂肪は最小限にすることが有効です。また、生姜やクルクミン、玉ねぎとにんにく(ケルセチンを含む食材)などは、炎症抑制作用のある食材として知られています。

その他にも、抗炎症作用を持つものとして、たんぱく質分解酵素サプリ(プロテアーゼ)を空腹時に摂取することも有効であると言われています。たんぱく質分解酵素が吸収されて血液中に入ると、炎症が起こっている箇所に蓄積した細胞の壊死組織片や古い免疫たんぱく質を分解するのを助けてくれます。

 

次回は腸の炎症についてです。