「手が冷たい人は心が温かい」というのは本当?!

昔から、「手が冷たい人は心が温かい」といわれていますが、これは本当なのでしょうか?

実は、この疑問については、自律神経やホルモンバランス、そして栄養的に説明することができます。

緊張しやすい人は手が冷えやすい

緊張すると、交感神経が興奮します。すると、ノルアドレナリンアドレナリンがたくさん放出されます。これらの物質は、体温を保つために熱産生を促す一方で、身体の中の熱が逃げていくのを防ごうとする働きもあります。熱が逃げるのを防ぐには、皮膚の血管を収縮させ、末端の血流を少なくして、温かい血液が心臓など身体の中心に優先的に流れるようにする必要があります。

つまり、交感神経が優位で緊張しやすい人は、手が冷たくなりやすい、と言えるでしょう。周りの空気を読める人で、周りに気を遣いやすい優しい人は、いつも色々と気配りをしようとして緊張しやすいとも言えます。そんな人は、ちゃんと周りの人に温かく接することのできる「心の温かい人」であると言えるかもしれません。

交感神経と冷え性

ならば、手が冷たいほうが心が温かい良い人だからOK!と言えるかというと、残念ながらそういうわけでもありません。

そもそも、手足が冷たいというのは、冷え性の症状。

交感神経が優位で緊張しやすいタイプの人は、まじめな頑張り屋さんに多く、頑張りすぎて疲れてしまっていたり、冷え性で悩んでいたりするケースが多くみられます。

ノルアドレナリンやアドレナリンは、興奮性の神経伝達物質として働き、身体を臨戦態勢にしストレスに対抗し、短期間のストレスに対してはプラスに働くのですが、継続的なストレスが続いてノルアドレナリンやアドレナリンが常に放出されている状態になると、自律神経のバランスを崩し、さまざまな不調の原因となります。冷え性はその一つです。

自律神経のバランスは、血液検査の好中球とリンパ球のバランスからも予測することができます。

手が冷える原因は、栄養状態?!

交感神経が働きすぎる原因としては、性格的な要因や精神的ストレスに加え、栄養状態も非常に大きく関係しています。

①低血糖症(血糖調節障害)

低血糖症があると、身体が頑張ってアドレナリンなどのホルモンを出して血糖値を保とうとすることから、交感神経の過緊張が起こります。

また、低血糖症の症状の有無に関わらず、カフェインを飲まないといられない人や、栄養ドリンクを飲まないとやる気がでない、というような人も要注意。なぜならそれは、うまく保つことのできない血糖値をカフェインを使って無理やり保っている「カフェインによるドーピング状態」になってしまっているからです。

 

②貧血(たんぱく質・鉄・ビタミン)

貧血の影響で血の巡りが悪くなると、末端まで血液がしっかりといきわたりにくくなり、手足の冷えが起こりやすくなります。血の流れが悪いので、肩がカチカチに凝ってきたり、頭痛や生理痛、PMS(生理前の不調)なども起こりやすくなります。(これらの症状は、低血糖症マグネシウム不足、またはその他の原因によっても起こることもあります。)

貧血の主な原因は、たんぱく質の不足や鉄不足、ビタミンB12不足によって起こりますので、気になる方はぜひ栄養状態をチェックしてみてください。

 

甲状腺機能と体温の関係

体温調節に関わるホルモンは、アドレナリンやノルアドレナリンだけでなく、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンも大きく関係しています。

甲状腺ホルモンがどんどん作られてしまう疾患であるバセドウ病の患者さんでは、代謝が亢進しているので体温が高く、汗をたくさんかき、たくさん食べるのに痩せやすくなります。身体が熱っぽくなり、お医者さんがバセドウ病の患者さんを触診すると、「生温かく」感じると言います。過度な甲状腺ホルモンは心臓を刺激し、不整脈や高血圧、心筋梗塞、心不全などのリスクを高めてしまいます。

一方、甲状腺機能が低下して甲状腺ホルモンの働きが落ちてきた場合は、代謝が落ちるので低体温になります。例えば、中年になると太りやすくなる原因の一つとしても、甲状腺機能低下による代謝機能の低下が考えられます。

女性ホルモンとコレステロール値は密接な関係にあるので、女性の場合、閉経に近づくにつれて女性ホルモン(エストロゲン)が低下し、その影響で50歳頃になると総コレステロールとLDL-Cが急激に上がってくることがあるというのは良く知られていますが、コレステロールに上昇に甲状腺機能が関わっているケースも少なくありません。

甲状腺機能低下症になると、これまでコレステロール値が高くなかった人が急に高くなってくることがあるのです。コレステロールはステロイドホルモンなどさまざまな物質の材料として重要なものなのですが、甲状腺機能が低下して甲状腺ホルモンが減ってくると、身体の中でコレステロールをどんどん利用しようとする力が失われ、コレステロールの値が高くなってきます。コレステロールが充分足りているから高くなるのではなくて、コレステロールをうまく利用できずにだぶついて血中濃度が上がってしまうという感じです。

甲状腺機能低下によって代謝が落ちてくると、物事に対する意欲も落ちてきてしまったり、女性ではおしゃれに興味がなくなってしまったりもします。もしも、最近元気がなくなってきて、コレステロールも高くなってきていて、冷えも気になるというような場合は要注意。そんな方はぜひ、甲状腺機能も検査してみることをおすすめします。

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