血液検査の「HDL」・「LDL」からわかること

★血液データの読み方

HDLコレステロール(HDL‐C)とLDLコレステロール(LDL‐C)について説明します。

HDLコレステロールとは?

コレステロールは水に溶けないので、体内で輸送するにはコレステロールを運ぶ「舟」の役割をする「リポたんぱく」が必要となります。
リポたんぱくの構造によって、脂肪は、血液やリンパ液によって輸送されることができます。
リポたんぱくは、リン脂質で球状の形を作り、中に中性脂肪、コレステロール、たんぱく質が含まれた構造になっています。リポたんぱくは含まれる中性脂肪やたんぱく質の割合によって比重が異なり、その比重によってVLDL、LDL、HDL、カイロミクロンなどの種類に分けられています。

HDL(High Density Lipoprotein)は、たんぱく質がその半量を占め、その名の通り比重が高い(=比重が大きい、つまり重い)リポたんぱくです。血管壁に付着しているコレステロールなど、組織上で余分になったコレステロールを回収し肝臓に運び戻す働きがあることから、俗に「善玉コレステロール」と呼ばれることもあります。

本来コレステロールには善玉も悪玉もありませんが、わかりやすくするために便宜上そのように呼ばれているわけですが、「善玉リポたんぱく」「善玉リポたんぱく」と言った方が正しい呼び方だといえますよね。

HDLは、70ぐらいあることが望ましく、80~90 台でも良いと言われています。遺伝的な要素も大きく、若い時からHDLが高めの家系は長寿の家系が多いようです。適度な運動はHDLを増やしてくれる効果があることがわかっています。

糖尿病、動脈硬化、肥満症、過度の喫煙、腎透析などの人は、HDLが低値になりやすいことがわかっています。また、オメガ6系脂肪酸の過剰摂取でもHDLが下がることもあります。

逆に、極端に高くなってしまう人の場合(100を超えるような場合)は、「コレステリルエステル転送たんぱく欠損症」(遺伝病)の可能性もあると言われています。薬の影響で高値になることもあります。

LDLコレステロールとは?

LDL(Low Density Lipoprotein)とは、その半量をコレステロールが占める低比重のリポ蛋白です。

LDLは一般的に「悪玉」扱いされていますが、LDLルの本来の役割は末梢にコレステロールを供給して、細胞膜を修復することです。細胞膜だけでなく、性ホルモンやCoQ10、ビタミンD、胆汁を作るためにも必要です。

しかし、コレステロールが過剰になると、酸化したLDLコレステロールは「変性LDL」(変性した低比重リポ蛋白)が出てきます。すると、この変性リポたんぱくを「マクロファージ」(白血球細胞の一つ)が取り込んで、「泡沫細胞」という細胞に変わります。この泡沫細胞は、血管内皮に浸潤し、粥状の「アテローム」となって動脈壁に蓄積し、血管の一部を狭窄させ、アテローム性動脈硬化を引きおこし、心臓病のリスクを高めることになるのです。

LDLコレステロールは110~130ぐらいが理想的です。

LDLコレステロールが高すぎる場合、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化などのリスクが高まるほか、糖尿病、甲状腺機能低下、ネフローゼなどでも高値になります。

また、LDLは加齢や閉経に伴い数値が上昇しやすい傾向があります。

脂質異常症とは

HDLは血中のコレステロールを肝臓に運び、LDLがコレステロールを末梢へ運びぶ働きがあるため、血中のLDLレベルを下げ、HDLレベルを上げることが、アテローム性動脈硬化症を防ぐことにつながります。

体内では常に一定量のコレステロールが必要なため、体内では必要に応じてコレステロールを合成しています。体内で作られるコレステロールの60~70%は、肝臓で作られており、(その他にも小腸、副腎皮質、性腺などで作られます)それ以外は食品から摂取したものです。そのため、食事内容だけでなく、肝機能が正常に働いているかどうかも非常に重要となります。

通常は血液中のコレステロール値は一定の量が保たれるように調節されているのですが、食事から身体に入ってくる脂質の量が多すぎたり、肝機能低下などによって血液中のLDLや中性脂肪が過剰になっていたり、HDLが少なくなってしまった状態を、「脂質異常症」といいます。

「動脈硬化指数」について

LDLとHDLのバランスをチェックして、酸化ストレスの度合いをチェックしてみましょう。

(総コレステロールーHDL)/HDLの計算式で求められる値を「動脈硬化指数」と言います。

動脈硬化指数は3以下が望ましく、3以上であれば対策が必要です。

LDLレベルを下げ、HDLレベルを上げるには、体重をコントロールする、飽和脂肪酸よりも一価と多価不飽和脂肪酸を摂取する、トランス脂肪の除去、動物性脂肪の摂りすぎを避ける、オメガ6系脂肪酸の過剰摂取を避ける、オメガ3系脂肪酸の積極的な摂取、水溶性食物繊維の摂取、アルコールを控える、適度な運動を行うことなどが有効です。

尚、インスリンの効きを知りたい場合にも、HDLコレステロールと中性脂肪に注目すると良いと言われています。
なぜなら、インスリン抵抗性が改善してくると、HDLコレステロールが低すぎる場合は徐々に上がっていき、中性脂肪が高すぎる場合は徐々に下がっていく傾向が見られる、つまり、糖の代謝の改善を予想することができるからです。
逆に、中性脂肪が年々上がっていたり、HDLコレステロールが年々下がってきていたりする場合、もしかすると糖の代謝が乱れてきているのかもしれません。ただし、中性脂肪などは変動しやすいデータでもあるので、一年ごとの結果で一喜一憂するのではなく、年々変化する様子に着目して見ると良いでしょう。

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