血液検査の「フェリチン」からわかること

ヘモグロビン値や赤血球数に問題がなくても、「フェリチン値」を測ってみると値が低く、実はひどい貧血だった!という場合があります。逆に、貧血があるのにフェリチンが高く出る場合もあります。今日はそんな「フェリチン」について説明します。

フェリチンとは

「フェリチン」とは、鉄を貯蔵することのできるたんぱく質です。フェリチンは細胞内に鉄分を貯蔵して、トランスフェリン(血液中で鉄を輸送する「舟」の役割をするたんぱく質)との間で鉄の交換を行なって、血液中の鉄分量(血清鉄)を維持する働きをしています。

私たちの身体の中にある鉄の量のうち60%程度は赤血球のヘモグロビンに結合した状態で存在し、30%程度はフェリチンの中に貯蔵されています。フェリチンは、肝臓・脾臓・心臓・腸の粘膜など各臓器に存在していて、微量ながら血液中にも逸脱して存在しており、血液検査ではこの血液中に出てきたフェリチンの量を測っています。

フェリチンは、通常はガンの進行状況を見る項目として使われることが多いのですが、実は鉄欠乏貧血の検査項目としても使うことができます。それは、血液検査のフェリチン値は、体内にある貯蔵鉄の量を反映しているからです。

貧血は通常、ヘモグロビン(血色素量)や、赤血球数で判断されますが、これらの数値は意外と中等度以上の貧血でないと低下してきません。 一方、「フェリチン」は、鉄が足りなくなるとヘモグロビンや赤血球数よりも先に下がってくるので、鉄欠乏の非常に鋭敏なマーカーとなります。そのため、フェリチンを測ることによって潜在性鉄欠乏になっていないかどうかを調べることができます。

普通の検査では正常としか判定されないケースでも、実は深刻な鉄不足に陥っていて様々な不定愁訴を起こしている人も多く、フェリチンの値を見ることで、その異常を見つけることができるというケースも少なくありません。

フェリチンの理想値

フェリチン値が12 以下(ng/ml)となると、強い鉄欠乏症状が出てきます。鉄剤の処方対象にもなります。

フェリチンの理想値については様々な意見があるようですが、欧米の産婦人科等では、フェリチンが40以上ないと妊娠を許可しないほど、重要な値であると言われているそうです。育児ノイローゼ気味の女性がひどい鉄欠乏に陥っているケースも多いと言われています。

ただし、フェリチンは炎症の指標でもあるため、体内に炎症があれば高めに出るので注意が必要です。また、溶血でも高値になります。

フェリチンと貧血症状にはある程度相関が見られますが、人によってはフェリチンが25以上あっても貧血症状が出る場合もあります。少なくとも12以上は、最低ラインとして超えていたいところです。炎症など何も問題がないのであれば、女性の場合はだいたい20~30ぐらいあれば、とりあえず良しといったところでしょうか。

逆に、有月経年齢の女性で、フェリチンが100を超えるような場合は、体内の炎症か、無月経なども疑われます。

 

フェリチン値は炎症で上昇する

フェリチンは、炎症(肝臓の炎症・感染症・悪性腫瘍)※など別の要素で上昇するため、高くても鉄欠乏になっている場合もあります。ヘモグロビン値が低く、フェリチン値は高いような人は、体内の鉄が足りないのではなく、鉄のリサイクル障害で貧血になっているということです。この場合、サプリメントを使用しても効果がないので要注意です!

※炎症とは、肝臓の炎症(脂肪肝・肝硬変・肝炎など)感染症・悪性腫瘍などの他にも、腸の炎症、上咽頭炎、歯周病など。様々な炎症によってフェリチン値に影響がでます。

(フェリチンは悪性腫瘍において非特異的に上昇するため、これを腫瘍マーカーと組み合わせて悪性腫瘍の診断の補助検査としても用いられるというわけです)

 

鉄不足と精神疾患

うつ病やパニック障害、引きこもり、不安、恐怖、情緒不安定、対人恐怖症などのメンタルで問題を抱えている人は、実は貧血であるというケースがとても多いと言われています。こうした心の問題を抱えている人は、「疲れやすくやる気が起こらない」という共通の症状を持っており、この原因は、貧血のせいで細胞が酸素不足になり、十分なエネルギーを生み出すことができていない、ということが背景となっていると考えられます。

鉄分不足で貧血になると、ヘモグロビンが作られないために全身への酸素供給量が低下します。すると、身体の中で最も酸素を必要とする脳も酸素不足に陥り、脳の機能低下にもつながります。さらに、鉄は神経伝達物質であるドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン、メラトニンが代謝される際に、補酵素として使われますので、鉄が不足するとこれらの神経伝達物質が作られにくくなり、うつ病などの精神神経症状が起こりやすくなります。

精神的なトラブルがあると、バランスを良い食事をする機会も減りやすく、お菓子やインスタント食品などばかりを食べるような食習慣が日常化していると、栄養不足に陥り、さらに貧血を悪化させるという悪循環になってしまいます。

フェリチンが低い場合の対処法

フェリチンが低い場合は、できれば積極的に鉄を補充した方が良いのですが、鉄はエネルギー産生をするために欠かせないものである反面、活性酸素の発生源でもあるため、過剰摂取にならないよう注意が必要です。

さらに、鉄は腸内環境の悪化を助長することもあります。身体に炎症がある時や、酸化ストレスが強い時、胃腸の状態が悪い時など、鉄の摂取が悪影響を与える可能性が強い時には、まずは体内の炎症や腸内環境を改善することが第一優先です。

どうしても鉄サプリを摂取したい場合には、ラクトフェリンサプリがおすすめです。「ラクトフェリン」とは、鉄と強く結合する性質を持つ糖たんぱくで、鉄の吸収性を高めてくれる働きがあります。また、鉄が体内に十分に存在する時には、鉄の吸収量を調節してくれたり、腸内の善玉菌を増やし腸内環境を整える効果もあります。