血液検査の「尿素窒素(BUN)」からわかること

たんぱく質代謝

血液検査の「BUN」について解説します。

尿素窒素とは

 

尿素窒素は、BUN(B=blood血液 U=urea尿素 N=nitrogen窒素) =「ビーユーエヌ」とも呼ばれます。

尿素窒素は、通常の血液検査でも検査項目に含まれていることが多いですよね。
これらの数字からどんなことがわかるのでしょうか。

通常の健康診断で尿素窒素を測る目的は、腎臓が十分に働いているかどうかを調べることです。

食事で摂取したたんぱく質や体内で使われた組織たんぱくは、分解されてアミノ酸となります。さらに、アミノ酸の分解産物であるアンモニアは肝臓で代謝され、尿素が生成されます。血液中の尿素は腎臓まで運ばれ、尿中へと排泄されます。つまり、尿素窒素は体内でたんぱく質が利用されたあとに残る残りかす。

そして腎臓へ運ばれた尿素窒素の全てが排泄されるのではなく、その一部は血液中に残ります。つまり血液検査ではこの血液中に残っている尿素窒素の量を測定しているのですね。

 

尿素窒素高値の場合

 

尿素窒素はだいたい15~18ぐらい、人によっては20前後という感じです。

 

腎臓の機能が低下していると、尿素窒素を腎臓でうまく排泄できなくなり、値が上昇します。また、たんぱく摂取過多やたんぱく質の異化が起こっている場合(体たんぱくを壊してたんぱく質を得ている状態)、運動によるたんぱく質の異化、消化管出血、膀胱炎、甲状腺機能亢進、悪性腫瘍、脱水、高熱、便秘、貧血など様々な要因でも高値になります。

 

また、副腎皮質ステロイドの投与や、降圧剤の種類によっては高値になります。

 

尿素窒素低値の場合

 

尿素窒素は、栄養学的にはたんぱく質摂取量の目安としても使える項目です。尿素窒素の値が低い場合は、たんぱく質の摂取が少ないか、たんぱく質の消化吸収能力低下(胃酸不足や腸内環境による影響大)の可能性が高いと言えます。9を切るような場合は結構低いと言えるでしょう。

また、高たんぱく食の不適合(過度な糖質制限や高たんぱく食の場合は食事の見直しが必須)、重症肝障害、肝不全などでも低下します。

尿素窒素の値は、前述した通りだいたい15~18ぐらいが丁度良いといわれていますが、その人の体形や食生活を反映しやすい項目なので、「この数字がベスト」とはなかなか言いづらい項目の一つです。

例えば、たんぱく質をあまり食べていない女性であれば、尿素窒素は12前後ぐらいなはずなのに、15以上あったりする場合、もしかしたらたんぱく質の異化が進んでしまっている(体たんぱくを壊している)状態なのかもしれません。

つまり、尿素窒素は、理想値かそれより高い場合でも、実は異化によって高くなっていうこともあるため、「たんぱく質不足があっても高くなることがある」、ということを念頭にいれておく必要があります。

 

尿素窒素が高すぎても低すぎても、たんぱく質代謝の問題があるということですね。

 

尿素窒素とγ-GTP

尿素窒素とγ-GTPは、他に上昇因子がなければだいたい同じ数字になるという性質があります。もしも2つの数字に差が大きい場合は、γGTPを押し上げている肝臓への負担となる何らかの因子(脂肪肝など)があると判断できます。

逆に、γGTPは低いわりに、BUNが高い場合は、たんぱく質の消化不足、または、便秘などによって窒素がうまく排泄されていないといったことも考えられます。

 

 

タイトルとURLをコピーしました