血液検査の「ALP」からわかること。血液検査でALPが低いのはなぜ?

たんぱく質・ビタミンB群・ミネラル類などの指標(酵素類)

今日は、血液検査のALPという項目について説明します。

ALPとは

ALPは、「アルカリホスファターゼ」という酵素で、「リン酸化合物」という物質を分解する働きがあります。ALPは肝臓を始め、腎臓など身体の様々な細胞で作られます。

ALP高値の場合

ALPは、主に肝臓や骨の異常(脂肪肝・骨粗鬆症など)があると血液中で上昇します。なぜなら、ALPは肝臓や骨などに多く存在し、これらの臓器がダメージを受けることで血液中に流れ出してくるからです。

また、ALPは胆道の異常(胆管炎・胆石など)で上昇します。ALPは肝臓から胆道を通って胆汁中→十二指腸に流れ出します。胆道に石や腫瘍ができると胆汁は流れにくくなり、さらに悪化すると逆流して血液中に漏れ出るようになります。このような胆道の閉塞や狭窄と呼ばれる状態がある場合も、ALPは血液中で高値になります。

肝臓や胆道系は悪くない=つまりγGTPなどの上昇がみられないのにALPが高い場合は、骨や他の臓器に異常がある可能性があると考えられます。

例えば、閉経後の女性でALPが上がってきている場合などは特に、骨粗鬆症に要注意です。

(中には、乳がん・前立腺がん・肺がん・骨髄腫などの影響で高値になっている場合もあります。)

尚、妊婦さん(特に妊娠後期)や、高脂肪食摂取後の採血でも高値になります。また、成長期の子供は骨をどんどん作って成長しているので、ALPが成人よりも高値になるのが普通で、1000ぐらいあるのが正常です。(ALPの他にLDH・AST・無機リンなども成人より高値になります)
さらに、降圧剤を飲んでいる場合、降圧剤の種類によっては高値になることがあります。

ALP低値の場合

さて、次に、ALPが低値の場合についてです。

ALPは、亜鉛とマグネシウムがないと働くことができません。つまり、ALPの酵素活性が低下しているということは、亜鉛とマグネシウムが不足しているということが疑われます。

通常の血液検査では、ALPが低めでも「基準値」の範囲に入っていれば、特に問題ないと言われると思います。しかし、ALP低値は、栄養学的に見ると大問題なのです。

ALPは、180ぐらいあると理想的であると言われています。

150以下を切ると酵素活性の低下が予想され、100を切るようだと極めて低い値であると言えます。

亜鉛やマグネシウムは、エネルギーを代謝して生きていくために欠かさないミネラルなので、不足すると様々な弊害が出てきます。

尚、ALPは亜鉛とマグネシウム不足以外にも、甲状腺機能低下・エストロゲン投与・ステロイド投与・スタチン投与・遺伝性低ALP血症などの要因によっても低下する場合があります。
また、男性でALPが低い人は、前立腺肥大が起こりやすいと言われています。

ちなみに、ALPが高いからといって、亜鉛やマグネシウム不足がないと言い切れるわけではありません。

ALPは前述の通り、肝臓や胆道系の異常や骨粗鬆症など様々な要因で上昇するため、これらがある場合は、亜鉛・マグネシウムの不足による数値の低下がマスクされてわからない場合があり注意が必要ということです。

亜鉛やマグネシウムが不足するとなぜ良くないの?

・亜鉛の働きと不足症状

亜鉛は、細胞の合成や酵素の働きに関与しており、身体がエネルギッシュに活動するために不可欠なミネラルです。

亜鉛不足があると疲れやすくなったり、細胞が再生されにくく、ちょっとした擦り傷の治りが遅くなったり、口角炎にかかりやすくなったりもします。その他にも、味覚異常、胎児の成長障害、皮膚炎、脱毛、爪の異常、髪につやがなくなるなど、不足症状は多岐に渡ります。男性の疾患では前立腺肥大が代表的で、ALP低値の人が亜鉛の投与で治った例は多いと言われています。

また、亜鉛やマグネシウムは、共に多くの代謝酵素の補酵素であるため、不足すると代謝が低下し、痩せにくくなってしまいます。

・マグネシウムの働きと不足症状

マグネシウムも、体内でとても重要な働きをしています。マグネシウムの不足が人間に身体にどのような影響を与えているかをまとめて、一冊の本が書けちゃうぐらいです。→(奇蹟のマグネシウム

マグネシウムがないと、身体はエネルギーを生み出すことができません。また、マグネシウムは抗ストレスミネラルとしても重要な機能を持っています。
心身がストレス状態にあると、交感神経の過緊張が起こり、毛細血管は収縮して全身の血流が悪くなり、骨格筋や神経が緊張状態になります。すると心疾患のリスクが高まったり、神経症や様々な不調の原因となります。マグネシウムには、骨格筋や神経を弛緩させ、血管と消化管の筋肉をスムーズにする働きがあります。この働きによって、血圧を下げたり、冠動脈攣縮を防ぎ、動脈硬化や心臓発作を予防したり、てんかん発作を減少させる効果、さらに精神を安定させる効果もあり、神経過敏、不安症、不眠症、うつ、筋肉の痙攣を軽減、月経関連する症状の緩和、偏頭痛の予防のためなどにも役立つことがわかっています。カルシウム不足はイライラを引き起こすというのはよく知られていますが、カルシウムだけでなくマグネシウムの血中濃度が減少すると、神経系に悪影響が出て、イライラなどの症状が出やすくなることもあります。

ALPについてのまとめ

・ALPは肝臓や骨に多く含まれる酵素で、亜鉛やマグネシウムを必要とする。

・肝臓や胆道系疾患、骨粗鬆症などによって高値になる

・亜鉛やマグネシウム不足によって低値になる。これらのミネラルが不足すると、代謝低下の他、様々な不調の原因となる。

・ALPは甲状腺機能低下などによっても低値になる。

・ALPは様々な要因によって上昇するため、ALPが低値ではないからといって「亜鉛やマグネシウム不足ではない」と言い切ることはできないため、上昇因子も考慮しながら血液データを読む必要がある。

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