たんぱく質の不足を調べる方法①

血液検査の項目を見てみましょう

 

今日は、健康診断などの血液検査の結果から、自分の身体の中でたんぱく質が足りているかどうかを栄養学的な視点から簡単にチェックする方法をお伝えしたいと思います。

ただし、これらはあくまでも目安ですので、身体の状態について断言したり、診断したりできるものではもちろんありません。

さらに、血液検査の結果は、脱水・炎症や薬の影響、その他にも様々な要因によって実際の値とは異なるデータが出る場合もありますので、注意が必要です。

 

さて、今日着目するのは、①アルブミン②総蛋白③総コレステロールです。

 

①アルブミンについて

身体の中でたんぱく質が足りているかを知るための一番良い指標となるのが血中のアルブミンです。

アルブミンは、食べたものを材料にして肝臓のみで合成されるたんぱく質で、肝臓のたんぱく質合成能力を反映します。血液中のたんぱく質の約60%を占め、栄養素や薬等を各臓器や細胞に運ぶ役割を持っています。同じたんぱく質でも、グロブリンは炎症によって量が上下するので、純粋なたんぱく代謝の指標としては不向きであると言えます。

アルブミンの理想値の目安は少なくとも4以上、スポーツ選手や筋肉量を増やしたい人、スタミナアップを目指す人の場合は4.5以上はあると良いと言われています。

血液検査でアルブミンの実数が表示されていなくて、アルブミン%が表示されている場合は、総タンパクに、アルブミンの比率(%)をかけることでアルブミンの実数を求めることができます。

アルブミンは比較的長期的な栄養状態を反映するため、短期的な食事が測定値に与える影響はあまりありません。したがって、栄養療法を実践して栄養状態が改善されてもすぐにアルブミン値は上がらず、しばらくしてからアルブミン値があがってくるということになります。

尚、アルブミンは血漿や間質液の浸透圧(膠質浸透圧)の90%を担っているため、低アルブミン血症では、浸透圧が低下して、循環血症量が維持できなくなり間質に流出し、全身性浮腫や血管内脱水の原因になります。つまり、たんぱく質不足でアルブミンが低下すると、むくみを引き起こしやるくなるということです。

アルブミンの低下は、栄養状態だけでなく、肝機能や腎機能低下によっても起こります。アルコール性肝硬変の初期の場合は、アルブミンが見かけ上高めになるけれど、実際は栄養状態が悪いということもあります。ただし、肝硬変が進むとアルブミンは3~2台にまで低下してしまうこともあります。

 

②総蛋白について

通常の血液検査では「アルブミン」の項目がなく、「総蛋白」のみの場合も多いかもしれません。総蛋白とは、文字通り血液中に含まれるたんぱく質の総和のことで、アルブミンとグロブリンを合わせたものになります。総蛋白の目安は7~7.5ぐらいが理想です。

では、総蛋白やアルブミンかなり高い場合、たんぱく質が体の中にたくさんあって望ましい状態なのか、というと、そういうわけではありません!

この場合、脱水の影響によって実際の値よりも高くなっていうということが考えられます。

総蛋白が7以上、アルブミンが4.5以上という風に、数字だけ見るととても理想的な値でも、見るからに栄養状態が良くなさそうな方の場合は、実際にはもっと低い値であると考えられます。

また、例えば総蛋白が9を超えるような高値になっている場合は、身体のどこかで炎症が起こっているということが予測されます。(この場合、大抵はグロブリンが高値になっています。)

グロブリンとは、体内で炎症が生じた際(慢性炎症や免疫反応の際)に体内で作られるたんぱく質で、総蛋白の30~40%を占めます。(グロブリンはさらに、α1、α2、β、γに分けられ、α1・α2は急性期炎症で上昇することが多く、
β・γは様々な疾患で上昇することが多い)

もしも検査項目の中に「A/G比」(血液中のアルブミンとグロブリン濃度の比)の項目があれば、そこもぜひチェックしてみましょう。目安は1.8以上で、これよりもA/G比が低い場合は、アルブミンが低い(低栄養)か、グロブリンが高い(炎症)のどちらかであると考えられます。

 

炎症については、ここで書くと長くなってしまうので、またの機会に詳しく書きたいと思います。

 

③総コレステロールについて

また、血中コレステロールもたんぱく質代謝を見る良い指標になります。なぜなら、血中のコレステロールはそれだけでは水に溶けずそのままでは血液中に存在することができないため、輸送たんぱく(=いわばたんぱく質の船)上に存在しているからです。たんぱく質が足りなければ、当然血中の脂質の数値は低くなるということです。また、肝臓の機能が弱いとコレステロールを作る能力も低下します。肝臓で作られるコレステロールが80%、食事から作られるコレステロールは20%未満のみと、食事の影響によるコレステロール上昇は意外と少なく、総合的な栄養状態の重要な指標となるのです。

高コレステロール=生活習慣病というイメージが強く、コレステロールは低ければ低いほど良いというイメージをお持ちの方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、栄養学的にはコレステロールが低すぎることも大問題です!

コレステロールは細胞膜の材料になる、ホルモンの材料になる、胆汁酸の材料になる、ビタミンDの材料になるなど、実に様々な働きをしていて、コレステロールが低すぎるとこれらの機能に影響が出てきます。そのため、抵抗力の弱そうな、いかにも弱々しそうな人は、総蛋白とコレステロール値が低い人が多いです。

総コレステロールの目安は、栄養学的には180以上はあることが望ましいと言われています。総コレステロールは140を切るような場合では、精神的な支障をきたすと言われています。極端に低い場合は脳出血も起こりやすくなります。(逆に高すぎれば、脳梗塞のリスクが高まるため注意が必要です)

 

まとめ

今日はアルブミン・総蛋白・コレステロールに着目して血液データの読み方を簡単に書いてみました。

これらの値が低い場合は、食事の摂取量が足りない、または、食べているわりに低いならば消化力が足りないということが考えられます。食事の内容だけでなく、胃腸の状態を整え、消化対策を考慮した対策をしていくようにしましょう。

 

 

 

 

アミノ酸サプリを摂る目的とは

お肉は身体に悪いの?良いの??

 

皆さんは、「動物性食品は身体に悪いので、なるべく控えましょう」というフレーズを耳にしたことがあるかと思います。

その一方で、「たんぱく質は大事なので、たんぱく質を効率よく摂ることのできるお肉をしっかりと食べましょう」というフレーズを耳にしたことがある方も多いと思います。

この二つの意見は、どちらも正しいと言える反面、必ずしもそうとは言い切れないという側面もあります。

そこで今回は、動物性食品の良し悪しについて、白黒ハッキリするのではなく、「消化」という観点からたんぱく質について考えてみたいと思います。

肉には人間が必要とするすべてのアミノ酸が含まれており、とても効率の良いたんぱく質源となります。しかしその反面、他の食品に比べて消化されにくい性質を持つため、胃酸や消化酵素の分泌が十分でない人にとっては、消化しきれなかったたんぱく質が体に害を与えてしまうということもあり得ます。プロテインでも同じことです。

要は、「何を食べるか」よりも、「食べたものがしっかりと消化・吸収されているか」ということが大切なのです。

特に日本人はもともと胃酸や消化酵素の分泌量が少なく、肉をはじめとするたんぱく質の消化が苦手な人がとても多いことがわかっています。

 

未消化たんぱく質が体に与える害とは

それでは、消化が不十分の状態のたんぱく質は、身体にどのような影響を与えるのでしょうか。

未消化のたんぱく質は、腸内の微生物によって利用され腐敗し、有毒物質を発生します。
すると、腸内細菌叢のバランスが崩れ、腸内環境の悪化を招きます。さらに、腸から吸収された毒素は血中に入り、体内の細胞に悪影響を与えます。血液細胞は貨幣を重ねたような連鎖状になり、血液が毛細血管をうまく通れなくなり血流が悪くなることで、様々の疾患を引き起こしやすくなります。また、毒素やアンモニアを処理する働きを担う肝臓と、不要なものを外に排出する働きを担う腎臓にも負担がかかります。

さらに、リンパ機能が毒素を除去するために働くため、これも過負荷となり、免疫機能の低下を招き、感染症や真菌などに感染しやすくなってしまいます。それだけでなく、ホルモンのアンバランスや、お肌の不調にもつながります。

そして、十分な量のたんぱく質を吸収できていないことから、体内のたんぱく質が不足し、体内のあらゆる細胞の新陳代謝が正常に行われなくなってしまうことになります。

 

たんぱく質の役割

 

なんだかたんぱく質の悪い面ばかり書いてしまいましたが、上記のような問題は、必要以上のたんぱく質を摂ってしまっている場合や、うまく消化吸収を行うことができていないときに起こるトラブルであって、もちろんたんぱく質自体が悪者なのではありません。

たんぱく質は、筋肉や骨、皮膚、爪、毛髪などの材料になるだけでなく、体内の酵素やホルモンの材料にもなります。もちろん内臓や血管、血液、免疫細胞を作るためにも欠かせません。

例えば、貧血イコール鉄不足、というイメージが強く考えられていますが、たんぱく質不足でも貧血は起こります。

 

たんぱく質をしっかりと消化するために

お肉を食べると胃がもたれる方や、もともとお肉が好きでない方などは、胃酸や消化酵素の量が少なく、消化が苦手という日本人に多いタイプなのかもしれません。食べたものをしっかりと消化するためには、まずは良くかむことが大切です。(一口30回は噛むように意識できると良いです。)

また、食事の時に、レモン・梅干し・お酢といった酸っぱい食べ物や、消化酵素を豊富に含む生の大根を一緒に摂るのもおすすめです。これらの食品には、消化を助ける働きがあります。

肉料理や魚料理にレモンが添えてあったり、大根おろしと一緒に食べたり、食事の最初に酢の物や梅肉和え料理を食べたりするのは、とても理にかなった食事法なのですね。

意外なところでは、普段の水分補給はもちろんとても大切なのですが、食事中にたくさん水分を摂るという方はせっかくの胃酸が薄まってしまうので、少し控えた方が良いかもしれません。

消化酵素サプリメントを摂るというのも一つの方法です。

 

たんぱく質のサプリメントの種類

 

普段のお食事でたんぱく質の摂取量を充分確保できていない場合、あるいは消化力が低くたんぱく質をうまく吸収出来ていない場合は、たんぱく質が分解された形であるプロテインやアミノ酸のサプリメントを摂るというのもおすすめです。

たんぱく質のサプリメントには、

①プロテイン ②ペプチド ③アミノ酸  があります。

プロテインよりもペプチド、ペプチドよりもアミノ酸が、より分解された形になっているので、アミノ酸、ペプチド、プロテインの順で吸収は早くなります。

従って、早く効率よく身体に吸収させたいのならば、アミノ酸を選ぶと良いというわけです。

 

「アミノ酸サプリ」というと、なんだかアスリートが飲むもの、というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、実は高齢者の方や筋肉の少ない女性にこそおすすめです。筋肉を落とさずにダイエットしたい場合や、プロテインだとお腹が張ってしまう方や、プロテインの効果が感じられない方、運動前後の栄養補給などにも向いています。

ちなみに私は消化力が弱く、たんぱく質が不足しやすい典型的なタイプなので、アミノ酸サプリが欠かせません!

 

ご自身のたんぱく質が足りているかどうかを調べる方法は、また次回、お伝えしたいと思います。

 

 

 

「ストレスは役に立つ」と思うと、実際にそうなる?!ストレスを力に変える方法について。

ストレスは「敵」ではなく、「味方」になる?!

 

みなさんは、「ストレス」に対して、どのようなイメージを持っていますか?

ストレスは健康に害を与え、病気の元になるから、なるべく避けた方が良い、というのが一般的な考え方だと思います。

「ストレスを力に変える教科書」の著者で健康心理学者であるケリー・マクゴニガルも、心理学や医学の様々な見地において、ストレスは身体にとって有害であることは明白で疑いようのない事実であると考えていました。ストレスによって引き起こされる身体の不調は、単なる風邪だけでなく、心臓病・うつ病・依存症など、様々な病気のリスクを高めたり、脳細胞を殺してしまう、DNAにダメージを与える、老化を促進する、などといった悪影響があるとして、いかにストレスを緩和するか、についての論文や本の執筆、メディアの取材に対してもアドバイスをしてきました。ところが著者は、ストレスについての考えを大きく改めるきっかけとなる驚くべき研究結果を偶然知ることになります。

その研究結果とは、「ストレスが健康に悪い」と考えていた人は、「ストレスは健康に悪い」と考えていなかった人よりも死亡リスクが高いというものでした。強度のストレスを受けていた参加者の中でも、「ストレスは健康に悪い」と考えていなかった人たちは、死亡リスクの上昇がみられなかったばかりか、ストレスがほどんどない人たちよりも死亡リスクが低かったのだというのですから驚きです。

この研究の研究者たちの結論は、「人はストレスだけでは死なないが、ストレスが健康に悪いと考えていると、死亡のリスクが高まる」というものでした。

この研究結果を知った著者は動揺します。なぜなら、彼女はずっと人々のためになると信じて、「ストレスは健康に悪い」ということを力説してきたのです。いっそのこと、こんな研究結果は見なかったことにしてしまおうかとも思ったとも述べています。

しかし彼女は、このことをこれまでの自分の考えを見直す良い機会と考え、過去30年間の化学的研究や調査の内容を詳しく調べ、先入観を持たずにデータを見ていくことにしました。すると、ストレスは一般的に言われている通り有害であるという証拠も見つかったけれど、一般にはほとんど認識されていないような良い面もあるという証拠も見つかったのです。

ストレスの良い面とは、ストレスの経験から人は人は学び、成長し、強くなることができるということなのだそうです。さらに、ストレスに対する考え方を変えることで、私たちはもっと健康で幸せになれるといいます。

これは、これまでの私たちの考えてきた常識を覆す大きなパラダイムシフトであると言えるのではないでしょうか。

 

「考え方」でストレスホルモンの分泌が変わる?!

 

では、ストレスに対する考え方を変えることで、人の身体にはどのような変化が見られるのでしょうか。

ここで、この本に書かれていた実験を一つ紹介したいと思います。

実験では、まずは被検者を2グループに分け、ストレスに関する2種類のビデオをそれぞれに3分間程度見せます。そのあと、被検者にわざと強いストレスを感じさせるような模擬面接を行い、その時の唾液中のストレスホルモン(コルチゾールとDHEA)の量を調べます。

ビデオの内容は、

①グループ・・研究によって、ストレスには実は良い効果があるということがわかってきた。ストレスがいかにパフォーマンの向上に役立ち、健康を増進し、成長を促すものであるかということを説明することで、ストレスをポジティブにとらえたくなるような内容。

②グループ・・ストレスが健康に悪いことは多くの人が知っている。だが、研究によって、ストレスは私たちが思っている以上に心身を消耗させるということが明らかになってきた。ストレスがいかに健康に悪く、幸福感を失わせ、パフォーマンスを低下させるか、ということを説明し、ストレスに対するネガティブなイメージをさらに植え付けるような内容。

ちなみにどちらのビデオの内容も、実際の研究事例を引用していて、ある意味どちらも真実であると言えます。しかし、どちらのビデオを見るかによって、被検者のストレスに対する認識が変わります。その時、ストレス時の人の身体の反応に違いが現れるのかどうかを調べるのがこの実験の目的です。

 

コルチゾールとDHEAについて

 

コルチゾールとDHEAは、両方ともストレス時に副腎から分泌されるホルモンです。

コルチゾールは、糖代謝や脂質代謝を助け、ストレス時に身体がエネルギーを使いやすい状態になるよう働きます。また、消化・生殖・成長など、ストレス時には重要ではない身体の機能を抑制するように働きます。

一方DHEAは、コルチゾールの作用を抑制したり、傷の治癒を早める、免疫機能を高めるなどの効果があります。また、ストレスの経験を通じて脳が成長するのを助けるという働きもあります。

この二つのホルモンは、どちらも身体にとって必要なホルモンなのですが、特に慢性的なストレスがある場合、この二つのうちどちらのホルモンが多いかによって体に大きな影響が出てくることがわかっており、コルチゾールが多すぎると、免疫機能の低下やうつ病などの症状が現れやすい一方、DHEAが高いと、ストレスに関連する病気のリスクが低下する傾向がみられます。

また、コルチゾールに対するDHEAの割合が高い方が、集中力が高まり、問題解決能力に優れ、ストレスに負けずに頑張ることができるという傾向もみられると言われています。

 

考えが変わることで身体にどのような変化が見られたのか

 

さて、さきほどのストレスに関するビデオを見せた実験ではどのような結果が得られたのでしょうか。

 

結果から言うと、ずばり、コルチゾールとDHEAの割合に変化が見られたのだそうです。

 

ビデオを観ただけではコルチゾール値に変化はなかったのですが、意図的にストレスを与える模擬面接では、予想通り、被検者のコルチゾールの値が上昇します。しかし、①のグループ(面接前に「ストレスには良い効果がある」というびでおを見せられた人たち)は、②のグループ(面接前に「ストレスは心身を消耗させる」)というビデオを見せられた人たち)に比べ、DHEAの分泌量が多くなったという結果になりました。「ストレスには良い効果がある」と考えたことが、たんなる主観的な感じ方だけでなく、副腎から分泌されるストレスホルモンという生理的な部分にも影響を与えたのですね。

つまり、「ストレスは役に立つ」と思うと、実際にそうなるということです。

 

ストレスとうまく向き合い、うまく利用しよう!

 

人はストレスを「避けなければ」と思えば思うほど、それが不可能であることによって余計に苦しくなり、自己破壊的な行動を招きかねないといいます。それよりも、ストレスをうまく利用して向き合っていこうとする方が、無理してストレスを避けようとするよりもずっと賢明な方法であると考えられます。

本の中では、ストレスが最も害になるのは、自分はストレスに対して無力だと感じている場合や、自分が直面している問題に対処できる自信がなく、つらい思いをしてがんばることに意味を見出せずにいる状態にある時だとしています。

また、自分にとって大事な価値観を忘れずに生きることや、目的意識をもって生きることこそが何よりも大切であるということも述べられています。

 

これまで私は「ストレスは害になる」という認識が当たり前だと思っていました。実際にストレスが体に害を与えるケースももちろんあると思います。

しかし、これまでの考え方をガラッと変えて、ストレスを受け入れてうまく付き合っていくという姿勢でいれば、逆にストレスを力に変えるために役立てることができるという考え方は、とてもすばらしいものだと思いますし、大きな気づきをもらった気がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

眠れない原因は、腸だった?!

快適な睡眠のために、「セロトニン」と「メラトニン」

 

私たちの脳内では、「神経伝達物質」が働くことによって、精神状態や、いわゆる「気分」がつくられています。

数ある神経伝達物質の中でも、「アドレナリン」や「ドーパミン」、「セロトニン」といった言葉は、皆さんもよく耳にしたことのあるものだと思います。

 

「アドレナリン」の前駆体は「ノルアドレナリン」と呼ばれる物質で、アドレナリンと共に、生存本能(闘争または逃避)を司り、交感神経系を刺激し、心身を覚醒させる働きを持ちます。
ドーパミンやノルアドレナリンなどは、もちろん生きていくうえで必要なものなのですが、これらが暴走すると、様々な悪影響が出てきます。ドーパミンが過剰になると多動の原因になったりするし、ノルアドレナリンが過剰になれば、怒りや不安、恐怖感などを過度に引き起こします。

 

一方、「セロトニン」は、ノルアドレナリンやドーパミンの分泌をコントロールして、心のバランスを整えてくれる作用を持っています。
そのため、セロトニンが不足すると、精神状態が不安定になり、幸福感が感じられにくくなることでも知られています。また、平滑筋の収縮をスムーズにして心臓発作を予防する働きも持っています。

さらに、セロトニンは心を落ち着けてくれるだけでなく、睡眠との深い関りがあります。なぜなら、セロトニンは、「眠りのホルモン」であるメラトニンの材料となるからです。自然な生活サイクルの維持と睡眠のために欠かせないホルモンです。
セロトニンが不足するとメラトニンがうまく生成できなくなり、不眠症などを引きおこす原因となります。

 

メラトニンをしっかり分泌させるにはどうしたら良いの??

 

快適な睡眠のために欠かせないメラトニンをしっかり分泌させるには、どうしたらよいのでしょうか。

①日中に太陽の光を充分浴びる

メラトニンは夜間に分泌されるのに対して、セロトニンは日中にたくさん分泌されます。日中しっかりと太陽の光を浴びることで、セロトニンの分泌量が増加し、それが夜のメラトニン分泌につながるということが分かっています

 

②腸内環境を整える

 

セロトニンの材料になるのは、必須アミノ酸の一つであるトリプトファンです。

脳内のセロトニンは、トリプトファンが脳内で変換されて作られます。

(ちなみに、腸内では「腸内セロトニン」が作られますが、腸内セロトニンは血液脳関門を通過できないため、脳内セロトニンとは別のものです。)

 

脳内のセロトニンを増やすには、トリプトファンを含むたんぱく質食品をたくさん摂れば良いのか?というと、どうやらそんなに単純な話でもないようです。(詳しくはこちら。)

 

食事の内容はもちろん大切ですが、それ以前に、胃腸の状態が悪くて十分な消化吸収ができていない状況である場合にも、セロトニンの材料であるトリプトファンが不足してしまうことがあります。

 

さらに、トリプトファンをセロトニンに変換するためにはビタミンB6などの栄養素が欠かせません。ビタミンB6は、食事から摂取して供給されるだけでなく、腸内でも作られますので、腸内環境が悪いとうまくビタミンB6が作られず、不足してしまうことがあります。

 

例えば、血液検査のASTが10前半、ALTが一桁だったりする場合、かなりのビタミンB6の不足が疑われると言われていますが、それだけビタミンB6が不足すれば、「眠れない」、「楽しいことがない」(うつ状態)、などといった症状や悩みが出やすくなってきます。

(血液検査データでは一見問題がないように見えても、実はビタミンB6不足というパターンも多々あるので、注意が必要です)

 

また、セロトニンがメラトニンになるには、ビタミンB12やマグネシウムといった栄養素が欠かせません。これらの栄養素を消化吸収できるかどうかも、やはり腸内環境が大きくかかわっています。

 

つまり、なかなか寝付けない、よく眠れない、といった睡眠に関する悩みの原因は、実は腸内環境が悪いせいだったりするわけです。

 

睡眠と腸なんて、一見関係なさそうに見えることでも、大いに関係あり!なのですね!!

やはり、腸内環境って、大事です!!!

 

人間はなぜ、ビタミンC合成能を失ったのか?!

 

ビタミンCは、1900年代初めに、壊血病の予防因子としてオレンジ果汁から抽出され発見された物質です。

化学名は「アスコルビン酸」と呼ばれます。

 

ビタミンCの役割

ここで、ビタミンCの重要な役割をいくつか挙げてみましょう。

コラーゲン生成に欠かせない

ビタミンCはコラーゲンを生成する際に欠かせません。コラーゲンとは、細胞と細胞をノリのような役割をするタンパク質で、身体のほとんどすべての組織を組織を形成するために必要とされます。皮膚や骨の健康のためにも不可欠なものとして知られていますよね。ビタミンCが不足するとコラーゲンが進まず、毛細血管が脆くなる、歯茎から出血しやすくなる、傷の治りが遅くなる、骨や血管、臓器が弱くなる、神経症状など、壊血病の症状が出ます。

強力な抗酸化作用

ビタミンCには抗酸化作用があるため、細胞が酸化することによる障害を防ぎ、加齢によるガンや、心臓疾患を防ぐ、などといった働きがあります。尚、ビタミンEはビタミンCと併用することで効率的に抗酸化作用を発揮することができます。

 

免疫力を高める

ビタミンCは免疫を刺激し、白血球の働きを助け、細菌やウイルスを抑える力を高めてくれます。白血球には、血中に含まれるビタミンCの80倍のビタミンCが含まれていると言われており、病気にかかったときやストレス時には、さらにビタミンCの必要量が上がることがわかっています。

 

抗ストレス作用
副腎には、血中濃度の150倍のビタミンCが存在すると言われています。ビタミンCは、副腎がコルチゾールなどのホルモンを産生するときの材料となるため、副腎は特にビタミンCを必要としている臓器なのです。また、ノルアドレナリンというホルモンを産生するためにも、ビタミンCが使われます。コルチゾールやノルアドレナリンは、ストレスに対抗するために分泌されるホルモンです。だから、ストレス時にはビタミンCの必要量が上がるのですね。

ガンや風邪に効力がある

1970年代、アメリカのライナスポーリング博士は、グラム単位のビタミンC摂取によって、風邪やガンなどに効力があるという報告をしました。ビタミンCは、欠乏症を予防するだけでなく、最適量を摂取することで、風邪を早く治す働きや、発がん物質を抑制する働きがあることがわかっています。ライナスポーリング博士は、分子栄養学の創始者でもあります。

腸管でのミネラルの吸収を良くする

鉄や銅、亜鉛、カルシウムなどのミネラルは、ビタミンCと一緒に摂ることで腸からの吸収率がアップします。

アミノ酸を代謝して神経伝達物質を作る

セロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質を合成するときにも、ビタミンCが使われます。

・トリプトファン(必須アミノ酸の一種)セロトニン

・チロシン(必須アミノ酸フェニルアラニンから作られるアミノ酸)ノルアドレナリン

の反応の際にビタミンCが必要。)

甲状腺ホルモンを作るためにも必要

また、甲状腺ホルモンのチロキシンを作る際にも、ビタミンCは必要となります。チロキシンは、体内の代謝速度を調整するホルモンで、全身の細胞に影響を与えます。

 その他にも、LDLコレステロールの酸化抑制、カルニチン(アミノ酸)の合成促進、胆汁酸合成の促進、抗ヒスタミン作用、シミの予防などなど、実に様々な働きがあります。

 

ビタミンC欠乏は、人間の宿命?!

ヒト以外の多くの動物は、ビタミンCを合成することができる!

人が生きていくために不可欠なビタミンCですが、ヒトの体内ではビタミンCを合成することはできないので、食物などから摂取する必要があります。ところが、ヒト以外の多くの哺乳類たちは、ビタミンCを合成することができます。ビタミンCを体内で作ることができない動物は、モルモット、フルーツバット(果実食性コウモリ)、紅肛門鳴き鳥(熱帯産のヒヨドリ科の鳥)、そして、人間を含む霊長類と、ごくわずかであると言われています。

ビタミンCは、ぶどう糖を材料に、4種類の酵素の働きで作られます。人間の肝臓にも、ビタミンC合成に必要な酵素のうち、3種類までは揃っているのですが、最後のステップに必要な1種類(Lグロノラクトンオキシターゼという酵素)だけが欠けています。

栄養療法の世界的権威、ジョナサンライト医師によると、「血液中のビタミンC欠乏は、人類全体に共通した遺伝的障害である」としています。ビタミンCを合成することができる動物の場合、ストレス時にはビタミンC合成量が著しく増加することがわかっています。ガン物質を与えた実験でも、猛烈な勢いでビタミンCが合成されたと報告されています。

人類はなぜ、ビタミンC合成能を失ったのか?!

ビタミンC研究の第一人者であるライナスポーリング博士は、「人類がビタミンC合成能を失ったのは、脳を守るためだ」と言っていたのだそうです。

人間を始めとする霊長類は、社会生活に適応しながら進化する中で、脳容量が大きくなり、他の動物に比べて重量が重い。そのため、脳のエネルギー源となるブドウ糖糖の需要量も増えたわけです。

そこで、ビタミンCの材料は何だったか、思い出してみてください。そう、ブドウ糖がビタミンCの材料になるのですよね。もしも身体がビタミンCをたくさん必要としている時に、自分でビタミンCを合成する力があれば、ブドウ糖は激しく消費されることになります。

脳が大きい霊長類にとって、脳機能を維持するためにはブドウ糖が重要であるため、2500万年前の人類の遺伝子は、あえてビタミンC合成能を失うことで、ブドウ糖を温存するという道を選んだということでしょうか。また、果実など、ビタミンCを外から容易に摂取できる環境が整っていたという点も、ビタミンC合成能を失った一つの要因となっているのかもしれません。

壊血病と、ネイティブアメリカンの知恵

ビタミンCの欠乏症である壊血病は、古くから原因不明の奇病として恐れられてきました。壊血病の予防には柑橘類や野菜が有効であるということが知られるようになるまで、多くの人の命が壊血病によって失われました。日本では、一年を通して野菜が収穫できたことや、雪の多い地方では漬物を食べていたため、壊血病はあまり問題になることはなかったのだと考えられます。しかし、長期間にわたり航海を続けたり、作物を栽培する条件が厳しい地域に住んでいたヨーロッパの人々にとっては、大変な病気だったのです。

20世紀の初め頃、アメリカの歯科医であるプライス博士は、カナディアンロッキーの奥地に住んでいたインディアン(ネイティブアメリカン)に出遭いました。彼らは冬になると、ビタミンCの摂取源となるような植物は育たない土地に住み、ほとんど野生の狩猟に頼って生きていたのですが、壊血病にかかることはなかったのだそうです。不思議に思ったプライス博士が彼らにその理由を尋ねると、彼らは

「ヘラジカや熊の副腎を食べて、病気を防いでいる」

と教えてくれたのだそうです。彼らは、何世紀にもわたって、動物の特定の内臓を食べるということを学び、経験的にビタミンCを摂取する術を知っていたのですね!!