栄養学とは、曖昧な学問である?!

栄養は、人によっては毒になる?!

 

「○○が身体に良い!」「○○を食べれば痩せる!」などと聞いて、ついついたくさんその食品を食べ過ぎてしまったという経験がある方もいらっしゃるかと思います。

たまたまその食べ方が、自分の体調や体質に合っていれば良いのですが、
その逆だった場合は、せっかく健康のために実施した方法が、かえって体調を崩す原因となってしまうことにもなりかねません。

それでも、一時のマイブームに終わり、長続きしなければ、害も少なくて済むということもあるかもしれませんが、、。

ローマの治療家・哲学者・詩人としても知られるルクレティウスは、2000年以上も前に、「栄養は人によっては毒になる」と、簡潔に述べています。

 

例えば、、

生のブロッコリー、芽キャベツ、カリフラワー、ケール、からし菜、クレソンなどには、「チオシアン酸」という物質が含まれています。

「チオシアン酸」は、化学式HNCSで表される化学物質です。
甲状腺腫誘発物質の一種で、甲状腺ホルモンの生産を抑制する働きがあるため、甲状腺機能低下症と診断されている人などは特に、これらの食品の食べ過ぎには注意が必要であると言われています。

ただし、チオシアン酸は加熱すると、甲状腺抑制の働きを不活性化することができます。

また、ヨードには、チオシアン酸の働きを抑える働きがあります。

従って、もしも甲状腺機能に心配のある方や、チオシアン酸が豊富に含まれる食品を頻繁に使う場合は、加熱調理するか、ヨードを多く含む昆布などを一緒に食べると良いと言われています。

 

例に挙げたチオシアン酸に限らず、身体に良いからといっても、なんでも食べ過ぎれば、「過ぎたるはおよばざるがごとし」ということになるし、人の個性を無視して栄養について考えれば、害になることもあるということなのですね。

 

栄養学の「あいまいさ」について

「栄養学」というと、カロリー計算をしたり、栄養所要量を調べたり、「1+1=2」的な、どちらかというとはっきりした答えのある学問であるという印象を持っている方も多いかもしれません。

しかし、実際には、なかなかそうはいかないものです。

例えば、年齢が〇歳で、体重が○○㎏で、生活活動強度がこれぐらいなら、これだけのカロリーを摂って、栄養素の内訳はこれで、この症状がある時にはこれを食べて、、という「公式」に従えば、みんながみんな痩せたり、体調が改善されたりすれば良いのですが、人間の体はそう簡単にはできていないのです。

なぜなら、人によって栄養素の消化吸収・代謝のされ方も異なるし、個々の今の状態を作った背景には、さまざまに異なる生育環境や生活環境があり、何よりも、人の身体は、機械仕掛けの物質として存在しているわけではなく、想像以上に大きく「心」の影響を受けながら生きているからです。
だから、はっきりとした答えが出ない方が、むしろ当たり前なのかもしれません。

 

その一方で、人の普遍的な欲求として、「身の安全」や「社会的に認められる」といった、基本的な欲求と並んで人間が持っているのが、「明確さへの欲求」であると言われています。

 

リーダーシップとマネジメントについて書かれた名著、
最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと/日本経済新聞社

この本には、次のように書かれています。

「人は未知のものを恐れる性質を持っている。

不安を自信に変えるいちばんの手段は、なんといっても明確さである。」

 

未知のものや不安=現在&将来の健康

と考えると、「○○ダイエット」や「○○健康法」などといった、非常に明確でわかりやすい理論が流行る理由にもうなずけます。

最近では、健康情報が溢れすぎていて、そのような情報を見聞きしてもすぐに鵜呑みにせずに、「また出た-!それ、本当に効くの?!」などと、疑いの目を持っている方も多いとは思いますが、その一方で、心のどこかでは、「○○」を食べたり、実行したりすれば、痩せたり健康を維持できる、という、明確なものを求めているのではないかと思います。

だからこそ、「○○を食べなさい!」とか、「○○はやめなさい」といった、明確な主張をしているものが受け入れられやすいし、流行になったりするわけです。

もちろん、そのような「明確さ」が、時には役に立つこともあります。

しかしその一方で、人間の身体や栄養学に関する答えは、そんな風に簡単に、明確な答えが出ないことも多いということを忘れてはいけないと思います。

そのような曖昧さに対して、「いや、この方が正しい」とか、「これは絶対に間違っている」といって議論することが重要なのではなくて、「栄養学では、あいまいなことも多いのだ」と割り切って捉えながらも、自分なりの答えを出し、自分にとって必要なことを伝えていく力を身につけていくことが大切なのではないかと思います。

そのために、必要な知識を持つことはもちろん、人間を単なる「物質」として捉えるのではなく、ホリスティックな視点で、食べ物や人間の身体について捉えていきたいと考えています。

コエンザイムQ10は、美容や老化防止に役立つ?!コレステロール低下薬による弊害とは?!

今日は、美容や老化防止にも役立つと言われているコエンザイムQ10の働きや、コレステロール低下薬による影響などについて説明します。

コエンザイムQ10とは?

「コエンザイムQ10」は補酵素の一つです。細胞内のミトコンドリアにたくさん含まれ、細胞のエネルギー源となります。ミトコンドリアとは、生命の維持や活動に必要なエネルギーを作り出す「工場」のような細胞小器官です。

コエンザイムQ10は、もともと心臓病の薬として使われていた成分でしたが、アメリカやオーストラリアのオリンピック選手などが心肺機能を高めるためにコエンザイムQ10を使っているということが知られるようになり、サプリメントとして爆発的な人気を得るようになりました。

コエンザイムQ10の働きとは?

エネルギーを生み出す

エネルギー産生の補酵素として必要なので、生きていくために不可欠な成分です。

心肺機能を高める

心臓のエネルギー源となり、心臓のポンプ機能を元気にすることで、血流をスムーズにします。

抗酸化作用

「活性酸素」による細胞膜の酸化は、老化を早めたり、様々な病気の原因となります。コエンザイムQ10は、エネルギーの代謝時に発生する活性酸素を除去する抗酸化物質としても重要な役割を持ちます。

歯周病を改善させる

歯周病のある人の歯肉中のCoQ10は低下していることがわかっており、サプリメント補給をすることで歯周病が改善したという報告もあります。

美肌に役立つ
コエンザイムQ10dは、美白効果やしわを取る効果も期待できると言われています。

その他にも、コエンザイムQ10が不足すると、動悸や息切れ、疲れやすさ、冷え、免疫力低下、痩せにくい、などといった症状を引き起こしやすいと言われています。

コエンザイムQ10は、老化と共に減ってくる?!

コエンザイムQ10は体内で合成することができるのですが、その合成量20歳をピークに加齢とともに減っていまい、体内濃度が下がってくることがわかっています。ですが、サプリメントでコエンザイムQ10を補給して細胞を元気にしてあげることで、心不全や虚血性心疾患が改善したという報告が多数あります。

通常の食物からCoQ10を摂れる量は1日10㎎程度なのですが、健康維持のためには100㎎以上(CoQ10の含有量が多いイワシでも20匹以上!)必要であると言われています。そのため、積極的にCoQ10の効果を実感したい場合は、サプリメント摂取が有効であると考えられます。また、胆汁酸産生力が低いと、脂溶性栄養素の吸収が悪く、CoQ10 や脂溶性ビタミンの吸収も悪くなって不足しやすくなってしまうため注意が必要です。

 

コエンザイムQ10サプリを摂るコツ

抗酸化ビタミンと共に摂る

コエンザイムQ10 をサプリメントで摂ることは、スポーツにより大量に発生した活性酸素を取り除きたい時や、持久力を高めパフォーマンスを維持したい時にも有効であると言われています。抗酸化のためには、ビタミンCやビタミンEとともにコエンザイムQ10を摂ることが効果的です。

食後に摂る

コエンザイムQ10は脂溶性なので、食後に2~3回にわけてこまめに摂ると良いでしょう。エネルギー産生を高めるためにビタミンB群と一緒に摂ると良いという点から見ても、食後に摂ることが有効であると言えます。

体内で利用されやすい形で摂る

コエンザイムQ10には「還元型」と「酸化型」がありますが、体内で作られるコエンザイムQ10 は「還元型」。酸化型の場合の形で摂った場合、加齢やストレス、体力低下などで還元型に変換する能力が落ちてしまうので、還元型で摂った方が、体内で利用されやすいと言われています。

コレステロール低下薬に注意

コエンザイムQ10の体内での生合成は、「メバロン酸」という原料を使って行われます。この「メバロン酸」は、コレステロールを合成する時の原料にもなります。

血中コレステロール低下剤として有名な「スタチン」には、メバロン酸を産生する酵素活性を阻害して、コレステロールを低下させる働きがあり、それと同時にコエンザイムQ10も低下させてしまうのです。実際に、スタチンの投薬によって、血中のコエンザイムQ10濃度が著しく減少したという報告がなされています。

また、偏頭痛の薬や血圧降下薬の中にも、スタチンと同じように、コエンザイムQ10の合成を阻害するものもあります。

コエンザイムQ10が不足すれば、ミトコンドリア機能が低下し、起立性調節障害や慢性疲労、さらに、全身の細胞機能が低下してきます。

コレステロール低下薬や血圧降下薬を飲むことは、貴重なコエンザイムQ10 の合成を阻害してしまうことになるので、安易に薬を飲むべきではないということですね。

栄養療法を専門とするクリニックでは、どうしてもコレステロール低下剤を飲まなければならないような場合には、CoQ10をサプリで補うことが薦められることが多いようです。(薬を服用中でサプリメントを飲む場合は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう)

 

片頭痛を引き起こしすい食べ物とは?

今日は、片頭痛を引き起こしやすい食べ物についてです。

片頭痛は、体質や生活習慣など様々な要素が原因となって起こっていると考えられるので、そのような根本原因を取り除いて片頭痛を起こしにくい身体を作っていくことが大切なのですが、つらい症状を少しでも起こさないようにするために、片頭痛を起こしやすい食べ物について知っておきましょう。 “片頭痛を引き起こしすい食べ物とは?” の続きを読む

血液検査の「LDH」からわかること。疲れやすい人は、血液検査のLDHをチェックしてみましょう

LDHとは

血液検査データの「LDH=乳酸脱水素酵素」について説明します。

ちなみに、「LDH」は、Lactate(乳酸) DeHydrogenase(デヒドロゲナーゼ)=「乳酸脱水素酵素」のことです。

この酵素はその名の通り、乳酸を分解する働きをします。解糖系と糖新生の両方に関わるため、ぶどう糖がエネルギーに変換されるために欠かせません。

LDHが高値の場合

LDHは赤血球の中に多く含まれます。例えば、細胞膜の健康に関わるビタミンEが不足していたりすると、赤血球が血管内で壊れやすくなり、LDHの値が少し高く出るようになります。(詳しくは、「溶血」についてチェック!)

LDHの値が高めで、ビリルビン値もという人は、溶血の可能性が高いと言えます。この場合、MCVなども大きくなっていないかどうかチェックしてみましょう。

LDHはその他にも、組織が壊れる心筋梗塞や筋疾患などがあると、AST・ALT・CK・CPKと併せて上昇します。また、脂肪肝、アレルギー、アトピー、運動直後(筋肉運動の影響)、細胞破壊亢進、甲状腺機能低下、慢性腎炎など、そして降圧剤の種類によっても高値になることがあります。

このように、LDHを上昇させる因子はたくさんあるので、血液データを読むときにはデータのマスクを考慮していく必要があります。

 

尚、小児や成長期の場合も、LDH値は高くなります。

LDHが低値の場合

LDHが低いと、乳酸分解がスムーズにできず疲れが取れにくくなってしまいます。LDHが低値の場合、他のデータとあわせてナイアシン欠乏症を予想することができます。なぜなら、この酵素が働くためにはナイアシンを必要とするからです。ナイアシンは、エネルギーを生み出すためにも欠かせない栄養素なので、LDHが低い人はエネルギー不足のため元気がなかったり、疲れやすいと感じていたりすることが多いです。

また、LDHが低いと神経過敏にもなりやすく、うつ病、神経症、統合失調症の発症リスクが高まるということがわかっています。

LDHは180ぐらいはあるのが理想的です。100代前半だったりする人は、相当疲れやすさを感じているかもしれません。逆に、身体の状態が良くないのにLDHがばっちりという人は、どこかの組織にトラブルがあってLDH値が上がっているのかもしれないと考えられます。

アレルギーがある人も要注意です。アレルギーの人はナイアシン欠乏があってもこの値が高めになるため、ナイアシンの不足症状に該当する場合は、LDH値が十分でもナイアシン欠乏である場合もあります。

 

ナイアシンについて

ナイアシンとは、ビタミンB群の一種で、ビタミンB3(ニコチン酸)とも呼ばれます。ナイアシンにはたくさんの働きがあります。特に、三大栄養素の代謝に必要で、循環系・消化系・神経系の働きを促進します。また、お酒を飲んだ時の悪酔いの原因となるアセトアルデヒドを分解し、二日酔いを防止する働きもあるという点も要注目です。

ナイアシンは、魚や肉、卵、豆類など、たんぱく質を多く含む食材に豊富に含まれるだけでなく、たんぱく質に含まれるトリプトファンから合成されます。トリプトファンの合成が行われるのは身体の中だけでなく、腸内の腸内細菌からも、トリプトファンからナイアシン合成が行われます。

そのため、LDHが低い場合は、摂取量が少ないというだけでなく、腸内環境が悪い→ナイアシン不足→LDH低値となっているということも考えられます。

 

まとめ

・LDHは、乳酸を分解する酵素で、エネルギー代謝において欠かせない。

・LDHは、溶血、心疾患、脂肪肝、アレルギー、アトピー、運動直後(筋肉運動の影響)、細胞破壊亢進、甲状腺機能低下、慢性腎炎、薬の影響などで高値になる。

・LDHが低い場合、ナイアシン不足が疑われる。ナイアシン不足は、エネルギー不足だけでなく神経疾患を引き起こすこともある。

・ナイアシン不足がある場合、食事内容だけでなく腸内環境を整えることが大切

 

 

 

頭痛の意外な原因とは?!

慢性頭痛の9割は、「首こり」が原因?!

 

いつも頭痛薬が手放せない、何をやっても頭痛が消えない、頭痛のせいでやる気が出ない、、

頭痛って、本当に辛いですよね。

日本ではおよそ3000万人の人が、慢性的な頭痛で悩まされていると言われています。ざっと計算して3人に1人と考えると、ものすごい数字です。最近では子どもでも頭痛を訴える子が増えていると言われています。

脳神経外科医の青山尚樹先生によると、慢性的な頭痛に悩んでいる人を日々診ているうちに、ある共通点に気が付いたと言います。 “頭痛の意外な原因とは?!” の続きを読む

血液検査の「AST」と「ALT」からわかること。ASTとALT値からビタミンB6の不足を読み取る

AST・ALTとは

 

血液検査の項目を見ると、AST(GOT)・ALT(GPT)という項目がありますね。この二つの項目を、栄養学的に読み取る方法について説明します。 “血液検査の「AST」と「ALT」からわかること。ASTとALT値からビタミンB6の不足を読み取る” の続きを読む

データの「マスク」とは?

データの「マスク」とは

血液データを読むときに忘れてはいけない、データの「マスク」について説明します。

脱水があったり、体内のどこかに微小な炎症が起こっていたり、栄養状態が悪かったりする場合、血液検査の値が本来の値よりも高くなったり低くなったりする場合があります。このような状態を、データの「マスク」といいます。

血液データの測定値は、値を上昇させる因子と下降させる因子のつなひきが行われ、そのバランスによって決まります。
そのため、一見理想値に近い値になっていても、両方の因子が働き合ってそのような値になっている場合もあるため、注意が必要なのです。
例えば、栄養療法を行って体調は良くなったのに一時的にデータが悪くなったようになることもあります。これは栄養状態が改善することによって脱水が補正され、そのようなデータが出ているという可能性も考えられます。

 

脱水とデータのマスク

一番わかりやすいのは脱水です。脱水があれば、血液が濃縮されているので実際の値よりも計測値が高くなります。
ただし、血糖値やコレステロール値などは、赤血球内と血漿内の濃度が同じ物質を測っているので、脱水があっても値は変化しません。
一方、脱水によって上昇するものの例としては、総蛋白、アルブミン、BUN、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数、クレアチニン、LDH、AST、ALT、Fe(鉄)、K(カリウム)、などが挙げられます。
目安としては、総蛋白7.5以上、ヘモグロビン16以上だったりする場合は脱水の可能性が高いと考えられます。
ただし、もしも検査データが理想的な値だったとしても、データのマスクによって値が実際のものよりも高くなったり低くなったりしていることによって見かけ上は丁度良い値になっているという場合もあるため、「この値なら絶対にOK!」などと言うことはできません。

 

脱水の原因

脱水があると、高血圧や狭心症を引き起こしやすく、血液粘度が高まると血栓を作りやすくなってしまいます。
以下のような状態があると、脱水になりやすいため、注意が必要です。
・検査前の水分摂取不足
・低栄養(低たんぱく)
・肥満傾向
・高血糖で多尿になっている
・利尿剤など薬の影響

 

データの「マスク」を引き起こしやすいそのほかの因子

脱水の他にも、血液検査の値を変化させる因子は色々あります。
代表的なものの例を挙げると、溶血・肝機能低下・室温放置(血液の保存状態)・運動後の影響・組織障害・成長期・妊娠後期・体質・食後(脂肪食)・ビタミン不足・たんぱく質代謝低下・甲状腺機能低下 etc.

例えば、多少肝臓が悪くても、たんぱく質の代謝低下やビタミンB6不足があると、値が理想的な値になっているということもあり得るというわけです。
血液データを見るときは、このようなデータの「マスク」について考慮しながら見ていくようにしましょう。